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節分の短歌~久葉襄

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遣らふべき鬼まだ棲まぬみどりごのほとりへも撒く四、五粒の豆

他に子どもを歌ったもの。


生まれ来むはじめての子を待つ日々の心はただに遠浅なせり
つはつはと牡丹雪降る生れこし吾子の一生の黎明をふる

いずれもすてきな歌だ。

この方の歌集を手に入れたいのだけれども、自費出版らしく見当たらない。

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吐き捨てし西瓜の種子は日盛りに乾きつつあり恥のごとしも
やるせなく思ふことあり雑踏をゆきつつ己れひとりの重さを
母の村黄波戸へゆくと海潮(うなじほ)の見え隠れして七曲りある
ふりむかず日暮れの雨に濡れゆきし髪のさがり端(ば)夜に恋ほしむ
白雷雨(はくらいう)去りてふたたびわだつみはまぶしき夏の胸をひらきぬ
蘇るかなしみごとのいくつかは遠き木原(こはら)の風のごとしも
青潮(あおじほ)へ向きて崖なす砂丘(すなをか)を蹴り崩しつつ寂し家郷は
団地群五千世帯の眠るうへ孤つ澄みをり黄の月球(げつきう)は
ラグビーの泥濘戦を見には来つ勤めに倦む日の午後 傘さして
競りあひをぬけしラガーが荒駆けて雨の地平へのめり込む見つ
遠つ世の女男(めを)の蒙(くら)さに立ち仰ぐ海上銀河はわれらへ流る
無花果の蜜ついばみて炎天へひたすら溺れゆきたり蜂は
かなしさよ婚祝はるる華やぎの何処にも君の父の座は無く
生まれ来むはじめての子を待つ日々の心はただに遠浅なせり
自転車を押しつつ愉し星空へ立て掛けしごと冬の坂あり
つはつはと牡丹雪降る生れこし吾子の一生の黎明をふる
遣らふべき鬼まだ棲まぬみどりごのほとりへも撒く四、五粒の豆
同棲の或る夜の窓よかなしみの羽化するように雪は降りゐき
緑菜(りょくさい)へレモンをしぼる朝すでに燦々として飢餓の国とほし
青竹の倒さるただちに竹群を伝はりゆけり竹の笑ひは
野遊びのわが小家族それぞれの髪うち乱る春のあらしに
をみなごを産みたる妻が女ゆゑ負はむかなしみ淡々(あはあは)と言ふ
戦争のために絶えたる父たちの草楽団よ「若草楽団」
電話にて鶴の飛来を聞きしかど夜深ければ悲報のごとし
青空の断片ばかり見ゆるかな都市といふこの大き迷宮
調律師鍵打つたびに目瞑りて木深(こぶか)き音を聴きゐるごとし
誰にいつ撮られしものか日溜まりわれを芒の骨が囲めり
点滴の音なく落つるその下に生れて六月の真いのちあえぐ
旅ごころかすかにさびし吹雪して湖(うみ)見えぬ夕べ湖の魚(いを)食む
抱きたる薔薇ひと束ともろともに少女炎(も)えたつ夜の車中に

この一番最後の歌を、俵万智さんが著書で引用していて、それで歌人を知った。
次の歌集の刊行を待っているところ。







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