我がやどの花橘にほととぎす今こそ鳴かめ友に逢へる時 大伴書持  

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我がやどの花橘にほととぎす今こそ鳴かめ友に逢へる時 大伴書持

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我がやどの花橘にほととぎす今こそ鳴かめ友に逢へる時

大伴書持、万葉集の代表的な歌人の短歌について解説と鑑賞です。

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我がやどの花橘にほととぎす今こそ鳴かめ友に逢へる時

読み:わがやどの はなたちばなに ほととぎす いまこそなかめ ともにあえるとき

作者と出典:

大伴書持 万葉集1481

現代語訳と意味

我が家の橘の木にとまっているほととぎすよ、鳴いておくれ。友に会っている今この時に

語句と文法

  • わが宿…我が家の
  • 花橘…柑橘系の植物 花に良い香りがする
  • ほととぎす…カッコウ目・カッコウ科に分類される鳥類の一種
  • 今こそ鳴かめ…係り結び

「今こそ鳴かめ」の品詞分解

  • 「鳴かめ」の「め」は、助動詞「む」の已然形。
  • 係り結びで、係助詞「こそ・・・め」の形で、前を受けて結ぶ。
  • 「するがよい」の勧誘の意味。

 

解説

大伴書持(おおとも の ふみもち)のよく知られた歌。

ホトトギスは、夏の季節の到来を告げる、代表的な渡り鳥として、春のウグイスと並び、鳴き声が珍重された。

この時は、季節の初音として、客人にその音を聞かせたいと思ったのだろう。

鳥の声もまた、季節のもてなしとして考えた、作者の風流な気持ちが推し量られる。

今こそ鳴かめ

「今こそ鳴かめ」の部分は、係り結びで、「するがよい」の意味。

「め」といっても、已然形なので、命令とは違うニュアンスがある。

『仰げば尊し』の「今こそ別れめ」も同じ用法となっている。

「別れよ」の命令ではなく、「今は別れるに良い時だ、別れよう」との意味になる。

この歌の一首前1480が

我が屋戸(やと)に月おし照れり霍公鳥(ほととぎす)心(うち)ある今夜(こよひ)来鳴き響(とよ)もせ

現代語訳)私の家の庭に月が照っている。ホトトギスよ、心があったら、今夜ここへきて 鳴いておくれ

であってこちらの結句の「響(とよ)もせ」は命令形となっている。

大伴書持について

大伴書持 は、万葉集を編纂したと言われる家持の弟です。

おおともの-ふみもち
?-746 奈良時代の歌人。
大伴旅人(たびと)の子。大伴家持(やかもち)の弟。天平(てんぴょう)10年橘諸兄(もろえ)の旧宅でもよおされた宴に参加し,よんだ歌が「万葉集」巻8におさめられている。また書持の死をいたむ家持の歌が「万葉集」巻17にある。天平18年9月死去。




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