穂村弘歌集『水中翼船炎上中』17年ぶり 時間の変化を可視化  

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穂村弘歌集『水中翼船炎上中』17年ぶり 時間の変化を可視化

2018年7月18日

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歌人の穂村弘さんが17年ぶりに歌集を出版されました。

穂村弘さんの歌集『水中翼船炎上中』の中のすてきな短歌をご紹介します。

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歌集『水中翼船炎上中』の主題は”時間”

歌集の主題は時間、過去と現在の対比であるといいます。

お母様を亡くされたあと、残されたお父様と子供時代に住んでいた家を見に行くという経験をされたのがきっかけだそうです。

子ども時代のスナップ

子ども時代から思春期、母の死と、肉親の死によって目覚めたのだろう家族の歴史と時間の流れが作品の中に刻まれます。

灼けているプールサイドにぴゅるるるるあれは目玉をあらう噴水
ふとももに西瓜の種をつけたまま畳の上で眠っています
それぞれの夜の終わりにセロファンを肛門に貼る少年少女
ゆめのなかの母は若くてわたくしは炬燵のなかの火星探検

昭和を感じさせる懐かしい感覚の歌が並びます。

母の死を詠う

そして肉親の葬儀にまつわる歌

今日からは上げっぱなしでかまわない便座が降りている夜の中
髪の毛をととのえながら歩きだす朱肉のような地面の上を

1首目は習慣の変化への意識が家族の死をあぶり出します。

2首目、「朱肉のような地面」という突飛な比喩に目を引かれますが、実際人が亡くなると、印鑑を押す用事が急激に増えます。

悲しみと事務が奇妙に混在する時期の、作者の微妙な混乱が表されているのでしょう。

装丁や編集の工夫も

趣味で集めている古い紙を表紙に使ったり、歌の数もページごとにこだわったとのこと。

さらには穂村さんによる「メモが挟まれている」ということなので、穂村作品に初めて触れる方、また短歌や歌集を初めて読む方でも十分に楽しめそうです。

 

『水中翼船炎上中』内容紹介

当代きっての人気歌人として短歌の魅力を若い世代に広めるとともに、エッセイ、評論、翻訳、絵本など幅広い分野で活躍する著者が、2001年刊行の第三歌集(『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』)以来、実に17年ぶりに世に送り出す最新歌集。短歌研究賞を受賞した連作「楽しい一日」ほか、昭和から現在へと大きく変容していく世界を独自の言語感覚でとらえた魅力の一冊!

著者穂村弘について

穂村 弘
穂村弘(ほむら・ひろし)
1962年、北海道札幌市生まれ。歌人。1990年、歌集『シンジケート』でデビュー。その後、短歌のみならず、評論、翻訳、エッセイ、絵本など幅広い分野で活躍中。
2008年、短歌評論集『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、連作『楽しい一日』で第44回短歌研究賞、2017年、『鳥肌が』で第33回講談社エッセイ賞を受賞。
他の歌集に、『ドライ ドライ アイス』(1992年)、『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』(2001年)、自選ベスト版『ラインマーカーズ』(2003年)等。エッセイに、『世界音痴』『短歌ください』『ぼくの短歌ノート』『野良猫を尊敬した日』他

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