元旦の朝日新聞一面の「折々の言葉」がおもしろかったので、ご紹介します。。
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雑煮の「雑」の字の意味
お正月に食べるお雑煮、なぜ雑の字がついているのか、不思議に思ったことはありませんか。
そもそも、万葉集には「雑歌」(ぞうか)という分類がありますが、それはどんな意味なのでしょうか。
「万葉集」は、何と「雑」の分類から出発する。---中西進
万葉集の3大ジャンルというのは、恋愛の歌である相聞、それから人が亡くなった時に詠む挽歌、もう一つが雑歌なのですが、雑歌の方が先に始まるというのです。
お雑煮の由来は
そして、誰もが知っている「雑」の字がついているものと言えば、「雑煮」ですね。
年の初めといえばお雑煮。古代中国の辞書によれば「雑」は「五采相い合うなり」(五色の彩りが一つになる)とか「最なり」(第一のもの)を意味すると、国文学者は教える。--鷲田清一
辞書の「雑」の意味
辞書には「雑」は、次のように書かれています。
「和歌・俳諧の題材による分類の一。和歌では四季・賀・離別・羇旅(きりよ)・物名・恋・哀傷などのどれにも属さないもの。または,四季・恋以外のもの」
「雑歌」というのは、つまり、それらのどれにも属さないもの、カテゴリー分けが容易にできないものということですね。
そして、おそらく万葉集の始めを「雑歌」と名付けた時には、バラエティーに富んだ「華やかな開始」を指すというのです。
元々「雑」という言葉に、良いイメージは持っていなかったが、そういわれてみると、そうかなと思い当たりますね。
古くは中国語の意に近いものが使われ、日本に伝わってからあと、意味が変わっていったものなのかもしれません。
現代の短歌は「雑歌」
そもそも今の短歌は、分類上ほとんどが「雑」の方に入りそうです。そして、ジャンル以上に派、スタイルも様々。よくも三十一文字でそこまでの差が出るものと見るたび感心してしまいます。
短歌の時代は、ほぼ一読して古典と現代も区別がつきますね。短歌は歴史が長いうえに、豊かで幅広く変遷を遂げてもいます。
言葉とはつくづく不思議なものとお正月から思わされた「雑」の字のコラムでした。