季節の歌や言葉をお届けする新しいコーナー【日めくり短歌】。
季節が梅雨に入り、これから外出の折は手放せない、傘にまつわる話題とその短歌です。
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「日めくり短歌」
季節の歌や言葉をお届けする新しい記事コーナー「日めくり短歌」を設けることにしました。
ふだんの解説記事は、ブログの制約上、どうしても長くなってしまうので、さらっと楽しく読めるものをと思ってご紹介するものです。
こうもり傘の由来
季節が梅雨に入り、朝のニュース番組「グッドモーニング」のことば検定で、こうもり傘の由来が紹介されました。
「こうもり傘」という言葉、今ではあまり聞かれなくなりましたが、私の年の離れた父は、昔傘のことを、「傘」を省略して「こうもり」と呼んでいました。
「こうもり」だけだと、動物の名前そのものになってしまうので、ちょっと変ですが、家の中ではそれで通っていたのを思い出します。
ペリーの持っていた傘
そもそも「こうもり傘」というのは、江戸時代に黒船で来日したペリー一行の様子を記録した『米国使節 彼理(ぺルリ)提督来朝図絵』という記録に由来するとのこと。
それに、ペリーの持っていた雨傘の様子がイラスト入りで図解され、文章で「色黒くしてコウモリのごとく」と記述された、そこから「こうもり傘」との言葉が生まれたとのことでした。
そこで思い出すのが斎藤茂吉の「こうもり売り」の短歌です。
斎藤茂吉の洋傘売りの短歌
いばらきの浜街道に眠りゐる洋傘(かうもり)売りを寂しくおもふ
第二歌集『あらたま』の短歌。
この時、斎藤茂吉は茨城からいわき方面に旅行、輝子夫人も一緒でした。
この時の場所は茨城県の最北端の大津港の手前の平潟漁港あたりでしょうか。昔なら、鄙びた漁村のあるところです。
歌の内容は、そこに傘を売る行商人が、行商の合間に道端で寝ていたという情景で、荷物の内容から、傘の行商人だということが分かったのでしょう。
洋傘として「こうもり」とルビが降ってあり、やはり「かさ」は含まれていないので、「こうもり」が傘の通称だったのかもしれません。
今はこのような行商の人というのはいなくなりました。昭和の時代の風物詩として、記憶に残っているだけになりましたね。