「乱歩忌」江戸川乱歩の命日にちなむ歌【日めくり短歌】  

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「乱歩忌」江戸川乱歩の命日にちなむ歌【日めくり短歌】

2020年7月28日

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7月28日は江戸川乱歩の亡くなった日、乱歩忌です。

今日の日めくり短歌は、江戸川乱歩の探偵小説の登場人物である明智小五郎にちなむ、穂村弘氏の短歌をご紹介します。

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7月28日は乱歩忌

今日7月28日は乱歩忌。

江戸川乱歩が亡くなった日です。昭和40年7月28日だそうです。

もっと長く、最近まで生きていたような錯覚がありますが、私が生まれた時には既に亡くなっていたというのが意外でしたね。

谷崎潤一郎の『途上』に影響を受けた小説も

乱歩で好きだったのは何かというと、弟は、やはり少年探偵団シリーズを読んでいましたが、私が後年好んだのは、『赤い部屋』という短編でした。

この小説は、谷崎潤一郎の『途上』に影響を受けて執筆したとされていますが、むしろ谷崎の別な作品『秘密』の方との類似も思い出されます。

重層的な『赤い部屋』

不思議な耽美的な出来事から始まるのですが、最後にはその夢が冷めてしまう、というより、それ以上に、現実との無残なコントラストが示されて終わるという内容です。

江戸川乱歩は探偵小説の作家ですので、謎が謎のまま解き明かされないわけにはいかないのですが、作品それ自体が、上記のような重層的な構造になっている作品です。

江戸川乱歩の「パノラマ」好き

その他にも、乱歩のモチーフにあった一つが、「パノラマ」です。

パノラマは、現実とは別に、最初から作り物は作り物として楽しむという人工物の空間なのですが、乱歩はその近代的で即物的な美が気に入っていたようです。

そういう意味では、乱歩はある意味、とても現実的なところがあって、「夢想」とはきっちり線を引いていたのかもしれません。

 

乱歩にちなむ短歌といえば、穂村弘さんの作品、

こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ

第二歌集「ドライドライアイス」所収のこの短歌は、江戸川乱歩の小説の登場人物、明智小五郎の文中の話し言葉を、そのまま歌にしたものだそうです。

言った相手が誰で、どのようなシチュエーションの言葉だったのかは、覚えがないのですが、あるいは怪人21面相に明智小五郎が言った言葉だったのかもしれません。

それ以上にこの言葉一つだけが取り出されると、小説を離れた寓意を満ちた「作品」となっていることが印象的です。

この歌の前は

眼をとじて耳をふさいで金星がどれだかわかったら舌で指せ

朝の陽にまみれてみえなくなりそうなおまえを足で起こす日曜

後ろ手に縛ったおまえの瞳をみれば 潜水艦に満ちる音楽

 

これらの歌には、やはり乱歩的な世界をほうふつとさせるものがあります。

谷崎から乱歩、乱歩から現代短歌へ、モチーフが共有されていることが確認できるかのようですね。

今日の日めくり短歌は、乱歩忌にちなむ短歌をお届けしました。

それではまた明日!できるだけ毎日更新します。

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