四方の河溢れ開けばもろもろのさけびは立ちぬ闇の夜の中に 伊藤左千夫  

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四方の河溢れ開けばもろもろのさけびは立ちぬ闇の夜の中に 伊藤左千夫

2020年7月8日

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各地で水害の悲しいニュースが相次いで伝えられています。

今日の日めくり短歌は、水害を詠んだ伊藤左千夫の短歌です。

生涯で3度の水害に遭いながら、伊藤左千夫は牛の飼育を継続、水に浸かった家屋の様子も詠んでいます。

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四方(よも)の河溢(あふ)れ開けばもろもろのさけびは立ちぬ闇の夜の中に

伊藤左千夫は、生涯で3度の水害に遭いました。

職業は、牛乳搾取業、牛の飼育もしていたので平地に住む必要があり、容易に住み替えもできなかったのでしょう。

水害の怖さを伝える短歌

その都度詠まれた水害の作品は多数に上りますが、そのうちで水害の怖さを伝える印象に強いのが上の作品です。

「四方の川」というのは、四方(しほう)の川が、「溢れ開く」すなわち、氾濫してということなのでしょう。

「もろもろ」は「たくさんの」の意味ですが、人だけではなくて、飼っていた牛たちや、鶏など他の家畜たちも含まれるかもしれません。

これは夜の洪水の様子を詠ったもので、続く歌には「闇ながら夜はふけにつつ水の上にたすけ呼ぶ声牛叫ぶ声」というのもあります。

日めくり短歌一覧はこちらから→日めくり短歌

疲れから神経痛に

この時、生涯に3度目の水害では、働き者の左千夫も、疲れから神経痛を病んだといいます。

住居だけでなく、牛小屋もあるため、水害がおさまってから後も大変な労働を強いられたのでしょう。

今日も大雨の地域の皆様、どうぞお体を大切に。

ご無事を願いながら、今日は伊藤左千夫の水害の短歌をご紹介しました。

伊藤左千夫の短歌について詳しくは
伊藤左千夫短歌代表作30首 牛飼の歌 九十九里詠 ほろびの光
伊藤左千夫の短歌100首 主要作品に解説

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