帰省はお盆の大切なイベントですが、今年は新型コロナの影響で、帰省のあり方も様変わりしています。
お盆に親戚に合えないというのは、お互いさびしい限りです。
きょうの日めくり短歌は、お盆の帰省にちなむ短歌を、吉田正俊の作品からご紹介します。
スポンサーリンク
もの食ひてこころなごまむふるさとに幾年ぶりか旅のごとく来て
作者は吉田正俊。出典は「朱花片」 自選集「草の露」。
もの食ひてこころなごまむふるさとに幾年ぶりか旅のごとく来て お盆の帰省の短歌 吉田正俊【日めくり短歌】https://t.co/MCOUiktg6u pic.twitter.com/XCIMfAa4U7
— まる (@marutanka) August 16, 2020
アララギ派の歌人 吉田正俊について
作者吉田正俊は、土屋文明に師事したアララギ派の歌人で、福井県生まれ。
大企業の要職にあって歌作を続けた作者が忙しい合間を縫って、故郷に久しぶりに帰った時の心境を詠んだものです。
初句の「もの食いて」に、大勢で卓を囲みくつろぐ作者の心持ちが伝わりますね。
続きは
恋ひ恋ひて帰り来し吾にあらなくに街のとよみの様変わりたる
駅まへのかはりし町をゆきすぎて昔のままの家いづくならむ
「とよみ」は響きのこと
聴覚的な変化を通して、故郷の町の変わったことを詠んでいます。
当時は、高度成長期時代、今のように町が寂れたというのではなくて、にぎやかに発展していったということでしょう。
ふるさとの名も忘れたる町をゆき茂る木立に思ひをぞする
故郷の地名も離れ住んでいるうちに忘れてしまい、木の陰に遠い記憶をたどるという場面が詠まれています。
都会に長く住んでいるうちに年々遠くなるふるさと。
帰れなかった方も、せめてオンライン帰省で、故郷に待つ人たちとつながれたでしょうか。
きょうの日めくり短歌は、帰省にちなむ、吉田正俊の短歌をご紹介しました。
それではまた明日!
日めくり短歌一覧はこちらから→日めくり短歌