日めくり短歌

「夏さりにけり」の「さる」の意味は「夏が来る」中村憲吉【日めくり短歌】

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「夏さりにけり」の言葉がある、「篠懸樹かげ行く女らが眼蓋に血しほいろさし夏さりにけり」の中村憲吉の短歌、この「夏さりにけり」はどのような意味でしょうか。

きょうの日めくり短歌は「さりにけり」と、その言葉のある中村憲吉の夏の短歌をご紹介します。

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篠懸樹(ぷらたぬす)かげ行く女(こ)らが眼蓋(まなぶた)に血しほいろさし夏さりにけり


8月に入り、梅雨明けの予報が待たれるようになってきました。

今年は雨が長かったため、それだけ夏の晴れた空が待たれます。

今日の短歌は、アララギ派の歌人、中村憲吉の短歌で、よく知られた歌です。

中村憲吉の歌の意味

一首の意味は、

街路樹のプラタナスの葉陰を歩いていく若い女性たちの瞼が、ほのかに赤みを帯びている。ああ、夏が来たのだなあ

というもの。

女性の面差しにあるわずかな変化で、夏が来たことを、視覚的に感じ取るという、大変繊細な内容です。

当時、仲間に「ハイカラ」ともいわれた中村憲吉は、このような都会的な情景に心を惹かれたようで、他のアララギ歌人にはない題材の歌を詠んでいます。

 

「夏さりにけり」の意味

「夏さりにけり」の「さる」は、「(夏が)来る」の意味。

辞書だと、下のように記載されています。

さ・る 【去る】
[一]自動詞ラ行四段活用

〔季節や時刻を表す語に付いて〕来る。なる。

 

「夕されば」も同じ

同じ用法の言葉に、短歌でよく使われるのは、「夕されば」があります。

例となる短歌を見てみましょう。どちらも大変良く知られた、有名な歌です。

 

夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草の里

作者は、藤原俊成。

「夕されば」はこの場合「夕方がくれば」の意味ですね。

詳しい解説は下の記事に

 

斎藤茂吉の歌にも有名なものがあります。

ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも

「夕」は旧仮名では「ゆふ」と表記します。

冬の夕暮れの寂しい眺めを詠ったもの。

 

それでは、きょうから「夏さりにけり」の8月、暑さに負けず、元気にお過ごしください。

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