現代短歌

「平和園に帰ろうよ」”短歌の聖地”となった中華料理店主 小坂井大輔さんの短歌

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「平和園に帰ろうよ」という題名の短歌集と、その著者、小坂井大輔さんの短歌が注目を集めています。

平和園は小坂井さんが店主のお店で、今やそのお店が”短歌の聖地”とされているそう。

「平和園に帰ろうよ」の短歌をご紹介します。

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作者:小坂井大輔 歌集「平和園に帰ろうよ」

 

「平和園」は”短歌の聖地”

歌集「平和園に帰ろうよ」には、短歌の紹介だけにとどまらない、たくさんの付随するエピソードがあります。

「平和園」というのは作者が経営する、名古屋の中華屋さんで、そこが今や「短歌の聖地」とされているのです。

作者の小坂井大輔さんは、そこの店主。つまり、中華のコックさんで、短歌を詠まれているのですね。

なぜ”短歌の聖地”に?

”短歌の聖地”というのは、どういうことなのか。そして町の中華料理屋さんがなぜ短歌の聖地になったのでしょうか。

店主の小坂井さんは、未来短歌会に所属しています。そこから、歌の仲間が集まり始めたのが最初だそうです。

そこから、このお店が歌人が集う場所となり、お店には、歌人が書き込みを残すスケッチブックもあるそうです。

 

「平和園に帰ろうよ」の短歌

小坂井さんは、最初から中華料理店の店主になろうとしていたわけではなく、出身は法学部なのですが、実家のお店を継いだという形になっています。

そのためもあって、短歌には、最初にあげた歌「退会のボタンが見当たらない通販サイトのような僕の人生」もそうですが、自らのアイデンティティーを問い直すような内容の作品があります。

聞かれたらこう答えたい「職業は小坂井大輔です」と激しく

年収を記入する欄だけ書いてないけど周りの人はどうだろう

たましいが土地です肉体が家です気持ちは湯船に浮かぶアヒルです

 

そして、つつましい生活や「人生とお金」を問い直すような歌もあります。

値札見るまでは運命かもとさえ思ったセーターさっと手放す

世の中は金だよ金、と言うたびに立ってる焼け野原にひとりで

金がそんなに偉いかちきしょうそんなにも偉いか 金が 金を ください

お金がすべてではないが生きるために必要であるという苦々しさが表されます。

他に、現代短歌によくあるストーリー性の強い作品や

家族の誰かが「自首 減刑」で検索をしていたパソコンまだ温かい

リリックな空想の歌も

わかさぎ釣りしている人が連なって空の小さな穴に吸われた

 

現代社会の折々の風景を描いた短歌も好まれそうです

不正した人に代わって繰り上がり当選しちゃった人の万歳

警察24時で暴走族が持つバットがイチローモデルと気付く

深夜のドンキはフィリピン人の奥さんを連れたおじさん達のお祭り

 

下この歌集の巻頭に置かれた短歌

食べてから帰れと置き手紙、横に、炒飯、黄金色の炒飯

けっして、幸せな歌ばかりではなく、人生のほろ苦さを感じさせる歌も多いです。

とはいえ、お店はテレビでも紹介されており、「地元の名店」との紹介文も見かけるので、けっしてはやらないお店というのではなさそうです。

いずれにしても、黄金色の炒飯を食べる前にも、短歌でお腹がいっぱいになることは間違いなしの歌集です。

装丁もぴったり。


平和園に帰ろうよ (新鋭短歌シリーズ48)

小坂井大輔プロフィール

小坂井大輔 こざかい・だいすけ
1980年、愛知県名古屋市生まれ。
「かばん」会員。「未来」短歌会会員。RANGAI。短歌ホリック同人。
2016年、「スナック棺」にて第59回短歌研究新人賞候補作。

平和園の場所

〒453-0014 愛知県名古屋市中村区則武2丁目6−14

 

きょうの日めくり短歌は、「平和園に帰ろうよ」の短歌をご紹介しました。

それではまた!

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