「滑走路」非正規歌人、萩原慎一郎さんの短歌の歌集が、朝日新聞のデジタル版に取り上げられました。
「ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる」は、朝日歌壇賞を受賞した短歌。そしてこのほど映画化が決まったというニュースです。
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ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる
作者と出典:萩原(はぎわら)慎一郎 歌集「滑走路」
ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる ”非正規歌人”萩原慎一郎の歌集「滑走路」が映画化【#日めくり短歌 】 #萩原慎一郎 #滑走路 #短歌 #現代短歌https://t.co/wcfmrGs2g3 pic.twitter.com/pvCM8Rjack
— まる (@marutanka) October 3, 2020
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萩原慎一郎さん「非正規歌人」
非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ
作者の萩原慎一郎さんは、詠んだ短歌から「非正規歌人」と呼ばれています。
非正規の歌人ならぬ「非正規労働者」の歌人ということです。
萩原慎一郎さんは、いじめに悩んでいましたが、俵万智に出会って短歌を始めます。
大学卒業後は非正規雇用に悩み、32歳で自死するまで多くの短歌を残されました。
非正規の現場の声
萩原さんの短歌が注目を浴びたのは、多くの非正規雇用の人たちの共感を得たためでしょう。
夜明けとはぼくにとっては残酷だ 朝になったら下っ端だから
頭を下げて頭を下げて牛丼を食べて頭を下げて暮れゆく
そして、同じ働く人たちへのまなざし。
いろいろと書いてあるのだ 看護師のあなたの腕はメモ帳なのだ
牛丼屋頑張っているきみがいてきみの頑張り時給以上だ
辛い日常にも、ほのぼのとした恋の歌もあります。
遠くからみてもあなたとわかるのはあなたがあなたしかいないから
いつか手が触れると信じつつ いつも眼が捉えたる光源のあり
木琴のように会話が弾むとき「楽しいなあ」と素直に思う
これらの歌には、ちょっとほっとさせられるのですが、萩原さんは、歌集の出版を予定しながら、自ら自死にて亡くなっていまいます。
その後出版された遺歌集は、異例のヒットとなり、文庫本も出版、このたび映画化も決まりました。
萩原さんが指示した歌人の三枝昻之(さいぐさたかゆき)さんは
「伸びやかな口語と、快いリズムが彼の持ち味。平成後期の世相を映した切ない、しかしリリカルな青春の歌集として、今後も読まれ続けるのではないか」
と、萩原さんの歌を支持しています。
太陽のような光に出逢いたく林檎をぱーんとふたつに割りぬ
生きているからこそうたうのだとおもう 地球という大きな舞台の上で
歌集を元にした映画がどのように出来上がるのか、楽しみですね。
萩原慎一郎さんの短歌は、「平成万葉集」にもとりあげられています。
当ブログでの紹介記事
きょうの日めくり短歌は、非正規歌人 萩原慎一郎の短歌をご紹介しました。
それではまた!
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