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にんじんは明日蒔けばよし帰らむよ東一華の花も閉ざしぬ 土屋文明【日めくり短歌】

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にんじんは明日蒔けばよし帰らむよ東一華の花も閉ざしぬ  土屋文明の有名な短歌です。

土屋文明は植物を愛した歌人としてしられています。

きょうの日めくり短歌は、「冬にんじんの日」にちなみ、土屋文明の短歌をご紹介します。

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冬にんじんの日

「冬にんじん」の旬である11月と、「に(2)んじ(4)ん」と読む語呂合わせから、カゴメ株式会社が制定しました。

11月は冬人参の旬でもあるのですね。初めて知りました。

「にんじん」で思い出すのは、土屋文明の下の短歌です。

 

にんじんは明日蒔あすま)けばよし帰らむよ東一華(あづまいちげ)の花も閉ざしぬ

読み:にんじんは あすまけばよし かえらんよ あづまいちげの はなもとざしぬ

作者と出典

土屋文明 歌集「山下水」

一首の意味

にんじんは、明日蒔けばよい。もう帰ろう。東一華の花も閉じてしまった。

句切れと修辞 表現技法

・句切れは2句切れ 3句切れ

・「にんじん」は漢字を使わず、ひらがな書き

・「蒔けば」は口語調。
文法的に正しくは「蒔かば」已然形の仮定法を使うべきとの指摘あり。
「蒔けば」は順接仮定条件。仮定法は「蒔かば」

・「帰らむよ」・・・「帰る+らむ」 未来の助動詞で意志を表す

・アズマイチゲ・・・キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草 山などに自生する

アズマイチゲ

アズマイチゲ

 




解説と鑑賞

土屋文明の農耕を主題とした有名な作品でよく引用される作品です。

土屋文明は群馬県川戸に疎開

土屋文明は自宅が1945年(昭和20年)空襲により焼失、その後は群馬県に疎開することとなりました。

終戦は空襲と同年ですが、その後6年間は疎開した群馬県の川戸というところで生活。

当時の食糧事情もあり、野菜などはできるだけ自給自足で自分で育てようとしたようです。

ただし、それ以前から土屋文明は植物好きな歌人として知られていますので、野菜作りもそれほど苦にはならなかったと思いたいですね。

土屋文明の短歌
土屋文明『往還集』『山谷集』鶴見臨港鉄道他『六月風』

 

朝々に霜にうたるる水芥子(みづがらし)となりの兎と土屋とが食ふ

こちらもよく知られた作品の一つ。

水芥子(みづがらし)というのは何かというと、クレソンのことです。

いまでこそ、クレソンは、スーパーでも売られる野菜となっていますが、上の歌を見ると兎の餌くらいにしかならなかったのかもしれません。

それを自分も食べているということを兎と並列するため、「土屋」と客体化した誇張を用いて、ユーモラスに表現しています。

いずれも楽しさの漂う歌ではありますが、当時の食糧事情の厳しかったことがうかがえる作品でもあります。

 

きょうの日めくり短歌は、「冬ニンジンの日」にちなんで、土屋文明のニンジンの出てくる短歌をご紹介しました。

それではまた!

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