電話の短歌、今では、電話は携帯が主流になってしまいましたが、黒電話、赤電話、そして、緑の公衆電話、家庭での電話と様々な移り変わりがありました。
きょうの日めくり短歌は「3分間電話の日」にちなみ、電話の短歌をまとめてみます。
電話の短歌
1月30日は「3分間電話の日」。
1970年(昭和45年)のこの日、日本電信電話公社(略称:電電公社、現:NTT)の市内電話の料金が3分間10円になった。
これは公衆電話からの料金で、それまで1通話10円で、時間は無制限だった。3分間10円は長電話防止のために始められたものだった。
私の記憶では「3分10円」が当たり前だとも思っていたのですが、そうではない時代がそれより以前に会ったということが意外でしたね。
今は電話と言えば、携帯電話、そしてスマホのことになってしまいましたが、「電話」はそれとは似て非なるツールであったことも思い出します。
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遠方に電話の鈴(りん)の鳴るごとく/今日も耳鳴る/かなしき日かな
作者:石川啄木
意味:
遠くに電話のベルが鳴るように今日も耳鳴りがする悲しい日であるよ
結核で臥した啄木は病床では耳鳴りを覚えていたようです。それに「電話のベルの音」を重ねています。
電話の短歌 新聞の投稿歌から
以下は朝日新聞の朝日歌壇の投稿歌からです。
作者の敬称は略させていただきます。
そんなにも孤独を怖れているのだと携帯電話(ケータイ)握り眠る子をみる
作者:橋本英幸
子どもと電話の様子から、子どもの心持ちを察するのです。
逝きし夫のバックの中に残りいし二つ穴あくテレホンカード
作者:玉利順子
夫の遺品にあるテレホンカード。おそらく入院中に使われたものであったのでしょう。
「二つ」が切ないのです。
このごろは妻よりも吾に電話することが多くなりぬ就活の子は
作者:田中浩一
相談事のある息子は、お父さんよりも、やさしく聞いてくれるお母さんの方がいいのでしょうか。
複雑な気持ちながら、どこかほっとされてもいるのでしょう。
人の数だけ 電話が街を歩いている喜怒哀楽を宙(そら)に飛ばせて
作者:宮本秀
以前の電話は、家族で共有するものでしたが、今や携帯電話は、1人に1個のツールとなりました。
かかりたる無言電話に父さんが倒れたのではと子が離れに来
作者:岡田独甫
同じ敷地の離れに住んでいる子ども、無言電話を受けて、慌てて駆けつけてくれたのですね。
高齢者にとって、電話は安否を伝える何より大切なものです。
電話すらくれないけれど今日髪を短くしたわ春も過ぎ行く
作者:岡田紀子
この場合は、携帯であっても、「電話」がふさわしい言葉です。
電話が関係の終焉を告げるのです。
もうこれで鳴らない電話を待たなくていい君にさよなら告げた春
作者:大下まゆみ
こちらも電話にまつわる、別れの電話。
「鳴らない電話を待」つのはなによりつらいことなのです。
かかる世をグラハム・ベルも嘆くらむ電話が詐欺のツールとなりて
作者:小野沢竹次
現代の電話の副産物である犯罪も生まれてしまいました。
「オレオレ詐欺」は携帯電話ならではの犯罪です。
以上、きょうの日めくり短歌は、「電話」の詠まれた短歌をご紹介しました。
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