春の海ひねもすのたりのたりかな 与謝蕪村 「のたりのたり」の意味と表現技法  

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春の海ひねもすのたりのたりかな 与謝蕪村 「のたりのたり」の意味と表現技法

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春の海ひねもすのたりのたりかな 与謝蕪村の教材に使われる俳句の意味の解説、切れ字と表現技法の工夫について記します。

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春の海ひねもすのたりのたりかな

現代語での読みと発音:はるのうみ ひねもす のたりのたりかな

作者と出典:

与謝蕪村  よさぶそん

現代語訳

春の海は一日中ゆるやかに波がうねっているのだなあ

 

句切れと切れ字

・切れ字…「かな」

・初句切れ

季語

季語は「春の海」 春の季語

形式

有季定型

表現技法

擬態語「のたりのたり」

「のたりのたり」は副詞であるが、それを擬態語として用いている。

その他の語句

・「ひねもす」の漢字は「終日」。これでひねもすと読む。意味は一日中

・「かな」は詠嘆で「…だなあ」「…ことよ」などと訳すのが通例となっている。

 
 

解説

江戸時代中期の歌人与謝蕪村の有名な俳句。

一句のポイントはなんといっても「のたりのたり」の音にある。

「のたりのたり」の意味

「のたりのたり」は副詞

意味は

のたりのたり【副】「ゆるやかにのんびり動くさま」

となっている。

春の海がのどかでゆったりしているというのだが、それを波の動きの擬態語で表現している。

波が穏やかであるというのが直接の意味だが、逆に海が緩やかではあるが、動き続けていることを表してもいる。

海のダイナミックな様子は、荒々しい波だけではなく、静かで途絶えないうねりとして表現したところにも特色がある。

また、「ひねもす=一日中」という把握は、作者がその日何度も海に面していることで、いかにものんびりとした、また、物憂いような春の一日の様子を醸し出している。

「のたりのたり」の擬態語といい、ふんいきといい名作と言われるにふさわしい俳句と思われる。のんびろ

俳句の海の場所

この句の舞台は現在の宮津湾と言われている。

与謝蕪村の本名は「谷口」だが、 「与謝蕪村」の「与謝」は亡くなった母親の出身地である丹後の与謝より名づけたという説がある。

宮津湾は「与謝の海」と呼ばれており、一節には、与謝蕪村が幼少期の海の風景を懐かしんで作った句とのこと。

以下は、現在の宮津湾。

〒626-0068 京都府宮津市田井

私自身のこの俳句の感想

この句を読んでまず「のたりのたり」に注目しました。単にのんびりしている、海が美しいだというだけではなくて、海がかすかにもうねり続けている様子に作者が物憂さを感じているという独特の雰囲気があります。

 

与謝蕪村の他の俳句

菜の花や月は東に日は西に

斧入れて香に驚くや冬木立

夏河を越すうれしさよ手に草履

四五人に月落ちかかる踊りかな

山暮れて紅葉の朱(あけ)を奪いけり

しら梅に明くる夜ばかりになりにけり(辞世)

 

与謝蕪村について

与謝蕪村 よさぶそん 1716年-1784年

江戸時代中期の日本の俳人。幼時から絵画に長じ、文人画で大成する傍ら、俳諧を学び、感性的・ロアマン的誹風を生み出し、松尾芭蕉と併称される。日本古典の代表的歌人。




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