教科書の俳句

芥川龍之介の俳句一覧 有名10首と自選77句

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芥川龍之介の有名な俳句をご紹介します。芥川龍之介の有名な俳句10首と芥川自身の自選77句を一覧にまとめます。

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芥川龍之介と俳句

芥川龍之介は小説の他にアフォリズムと呼ばれるエッセイの他、短歌や旋頭歌、俳句の作品を残しています。

短歌に関しては、斎藤茂吉の『赤光』に大きな啓発を受けたようですが、詩歌の中ではもっとも俳句の数が多く、加藤郁乎編『芥川竜之介俳句集』には1158もの句が収録されています。

「澄江堂(ちょうこうどう)」または「餓鬼」というのが、芥川の俳号です。

 

芥川龍之介の有名な俳句

芥川龍之介の俳句をよく知られている有名な作品の順にご紹介します。

水涕や鼻の先だけ暮れ残る

読み:みずばなや はなのさきだけ くれのこる

意味と解説

鼻水が出ている鼻が赤くなっている、そのほんのり赤いさまを夕暮れの空のあかみにたとえた句です。

この歌は、自殺よりもっと前に詠まれたものですが、自殺の前に明日の朝に知友に渡すようにと芥川が言い置いたため、辞世の句とされています。

 

青蛙おのれもペンキぬりたてか

読み:あおがえる おのれもぺんき ぬりたてか

意味と解説

蛙の色を塗りたてのペンキに例えた句で、ルナールの『博物誌』から着想されています。

教科書と教材に取り上げられることで有名なユーモラスな句です。

 

この句の詳しい解説は

青蛙おのれもペンキぬりたてか 芥川龍之介の俳句解説

 

兎も片耳垂るる大暑かな

読み:のうさぎも かたみみたるる たいしょかな

意味と解説

暑いと兎は耳を垂らすのか同化は知識がないのでわかりませんが、暑い時の草花がしおれるように耳が垂れてしまうとしたら面白いと思います。

しかも片耳だけというアンバランスな様子が、暑さに参っている様子を伝えています。

兎も片耳垂るる大暑かな 芥川龍之介の俳句

 

蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな

読み:ちょうのした ぜんまいににる あつさかな

意味と解説

暑い時の蝶というのはおそらくアゲハ蝶でしょう。

蜜を吸う蝶の口かららせん状の管が伸びている様子から「ゼンマイ」を連想しているのです。

 

木がらしや目刺にのこる海のいろ

読み:こがらしや めざしにのこる うみのいろ

意味と解説

この句は名句といわれている芥川の代表作の一つです。

こがらしは冬の季語で、目刺というのはイワシです。

冬の曇天の海とイワシの銀灰色を重ねているのです。

 

飛び石は斜めに芝は枯れにけり

読み:とびいしは ななめにしばは かれにけり

意味と解説

こちらも芥川のよく知られる有名な句。

庭の飛び石は斜めになってしまい、芝も枯れてしまったという冬の荒れ果てた庭の様子を表します。

 

人妻となりて三とせや衣更へ

読み:ひとづまと なりてみとせや ころもがえ

意味と解説

詠まれたのは芥川の結婚前で、ひそかに思っていた相手が結婚、そのあとに詠まれた句のようです。

 

向日葵の花油ぎる暑さかな

読み:ひまわりの はなあぶらぎる あつさかな

意味と解説

芥川には暑さを詠んだ短歌は他にもみられ、句を詠むことで夏をやり過ごしていたのだったかもしれません。

向日葵と油の取り合わせは、前田夕暮の短歌も有名です。

向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ 前田夕暮

 

初秋や蝗つかめば柔かき

読み:はつやきや いなごつかめば やわらかき

意味と解説

季語は「はつあき」。蝗はバッタの一種で昔は草むらによく見られました。

羽も足もあって一見固そうに思える蝗ですが、つかんでみると意外にも柔らかかったという驚きがあります。

命の息吹が伝わるような句です。

 

芥川龍之介自選の77句

芥川龍之介は、生涯で読んだ千句以上の中から、大正6年から昭和2年の間に詠まれた77句を厳選して自選したものを、自殺の前に残していました。

遺族はそれを印刷の上、香典返しとして弔問に訪れた客に配ったそうです。

その際の自選77句は以下の通りです。

 

蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな

木がらしや東京の日のありどころ

暖かや蕊に蝋塗る造り花

癆咳の頬美しや冬帽子

夏山や山も空なる夕明り

竹林や夜寒のみちの右ひだり

霜どけの葉を垂らしたり大八つ手

木がらしや目刺にのこる海のいろ

臘梅《や枝まばらなる時雨ぞら

お降りや竹深ぶかと町のそら

(一游亭来る)

草の家の柱半ばに春日かな

白桃や莟うるめる枝の反り

薄曇る水動かずよ芹の中

炎天にあがりて消えぬ箕のほこり

初秋の蝗つかめば柔かき

桐の葉は枝の向き向き枯れにけり

(自嘲)

水涕や鼻の先だけ暮れ残る

元日や手を洗ひをる夕ごころ

(湯河原温泉)

金柑は葉越しにたかし今朝の霜

あてかいな あて宇治の生まれどす

茶畠に入り日しづもる在所かな

白南風の夕浪高うなりにけり

秋の日や竹の実垂るる垣の外

野茨にからまる萩のさかりかな

荒あらし霞の中の山の襞

(洛陽)

麦ほこりかかる童子の眠りかな

秋の日や榎の梢の片なびき

(伯母の言葉)

薄綿はのばし兼ねたる霜夜かな

庭芝に小みちまはりぬ花つつじ

(漢口)

ひと籃《かご》の暑さ照りけり巴旦杏《はたんきやう》

(病中)

あかつきや水準なきやむ屋根のうら

唐黍やほどろと枯るる日のにほひ

しぐるるや堀江の茶屋に客ひとり

(再び長崎に遊ぶ)

唐寺の玉巻芭蕉肥りけり

更くる夜を上ぬるみけり泥鰌汁

木の枝の瓦にさはる暑さかな

夏の日や薄苔つける木木の枝

蒲の穂はなびきそめつつ蓮の花

(一游亭を送る 別情愴然)

霜のふる夜を菅笠のゆくへ哉

(園芸を問へるひとに)

あさあさと麦藁かけよ草いちご

山茶花の莟こぼるる寒さかな

(菊池寛の自伝体小説「啓吉物語」に)

元日や啓吉も世に古箪笥

(高野山)

山がひの杉冴え返る谺かな

雨ふるやうすうす焼くる山のなり

再び鎌倉平野屋に宿る

藤の花軒ばの苔の老いにけり

震災の後増上寺のほとりを過ぐ

松風をうつつに聞くよ夏帽子

朝顔や土に匐ひたる蔓のたけ

春雨の中や雪おく甲斐の山

竹の芽も茜さしたる彼岸かな

風落ちて曇り立ちけり星月夜

小春日や木兎をとめたる竹の枝

切支丹坂を下り来る寒さ哉《かな》

初午の祠ともりぬ雨の中

(金沢)

簀むし子や雨にもねまる蝸牛かたつむり

乳垂るる妻となりつも草の餅

松かげに鶏はらばへる暑さかな

苔づける百日紅や秋どなり

(室生犀星金沢の蟹を贈る)

秋風や甲羅をあます膳の蟹

一平逸民の描ける夏目先生のカリカテユアに

餅花を今戸の猫にささげばや

明星の銚にひびけほととぎす

(寄内)

ひたすらに這ふ子おもふや笹ちまき

日ざかりや青杉こぞる山の峡

(越後より来れる婢当歳の児を「たんたん」と云ふ)

たんたんの咳を出したる夜寒かな

(久米三汀新婚)

白じらと菊を映すや絹帽子

臘梅や雪うち透かす枝のたけ

春雨や檜は霜にげながら

(偶坐)

鉄線の花さき入るや窓の穴

(車中)

しののめの煤ふる中《なか》や下の関

庭土に皐月《さつき》の蝿の親しさよ

(悼亡)

更けまさる火かげやこよひ雛の顔

唐棕櫚の下葉にのれる雀かな

(鵠沼)

かげろふや棟も沈める茅の屋根

さみだれや青柴積める軒の下

糸萩の風軟かに若葉かな

(破調)

兎も片耳垂るる大暑かな

朝寒や鬼灯垂るる草の中

(金沢)

町なかの銀杏は乳も霞けり

(旭川)

雪どけの中にしだるる柳かな

 

芥川龍之介について

1892-1927 東京生まれ。東大卒。小説家。別号は我鬼 澄江堂主人。東京帝国大学卒。

夏目漱石の門に入り菊池寛、久米正雄らと第3次「新思潮」刊行。大正文学の中心作家の一人。代表作は初期には「鼻」「芋粥」。他に「羅生門」「地獄変」「河童」「或る阿呆の一生」など。睡眠薬自殺を遂げる。息子は芥川 比呂志(俳優)、芥川也寸志(作曲家)がいる。7月24日は河童忌。







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