雀の子そこのけそこのけお馬が通る 小林一茶の教科書・教材にも使われる有名な俳句の意味、季語など表現技法、句の意味の解説を記します。
雀の子そこのけそこのけお馬が通る
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読み:すずめのこ そこのけそこのけ おうまがとおる
作者と出典:
小林一茶
現代語訳
雀の子よ、さあどいたどいた、今から馬が通って危ないよ
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切れ字と句切れ
・初句切れ
季語
季語は「雀の子」 春の季語
表現技法
・字余り
・反復「そこのけ」
・子どもの雀に語りかける内容をそのまま句にした
形式
有季定型
解説
小林一茶のユーモラスで有名な俳句。
雀の子どもに語り掛ける内容がそのまま俳句になっている。
俳句の情景
馬についての解釈は、大名行列の馬であると言う説や子供たちが遊んでいる竹馬だとする解釈もあります。以下引用です。
「そこのけそこのけ」は元々は「そこを退(の)き去れ」と大名行列の人払いをするときに使われた格式ばった言葉を柔らかくしたもので、大名行列で、大名側の従者が町民に言った言葉とされている。
これを立ち場を変えて人が雀へという場面となっている。
雀の身を思いやる
大名行列の人払いは、あくまで大名側が道を妨げられることなく通るためものだが、一茶の句は、馬ではなく逆に雀の身を思いやる言葉となっている。
小林一茶には他にも
我と来て遊べや親のない雀
と、雀と自分を同一視したものや
やれ打つな蠅が手をすり足をする
のように、蝿のような小動物をかばう句もある。
なお、「馬」は竹馬という説もあるようだが、普通の馬と解したい。馬は多くは武士の乗り物だったが、荷物を運ぶ際にも使われたと思われる。
小林一茶の他の俳句」
雀の子そこのけそこのけお馬が通る
やれ打つな蠅が手をすり足をする
雪とけて村いっぱいの子どもかな
名月を取ってくれろと泣く子かな
おらが世やそこらの草も餅になる
菜の塵や流れながらに花の咲く
かすむ日や目の縫われたる雁が鳴く
猫の子がちょいと押さえる落葉かな
慈悲すれば糞をするなり雀の子
あこが餅あこが餅とて並べけり
鳴く猫に赤ん目をして手まりかな
麦秋や子を負ひながらいわし売り
とうふ屋が来る昼顔が咲きにけり
うまさうな雪がふうはりふわりかな
これがまあ終(つい)のすみかか雪五尺
春風や牛に引かれて善光寺
名月をとってくれろと泣く子かな
めでたさや中位なりおらが春
やせ蛙負けるな一茶これにあり
やれ打つなはえが手をする足をする
我と来て遊べや親のない雀
小林一茶について
こばやし‐いっさ【小林一茶】1763〜1828
江戸後期の俳人。名は信之。通称弥太郎。芭蕉、蕪村と並ぶ江戸の三大俳人の一人。
14歳の春、江戸に出て葛飾派の二六庵竹阿に俳諧を学びの地諸国を行脚。故郷に定住するが母や妻の死の不幸の中で21200句もの句を詠んだ。子どもを詠んだ柔らかい印象の句の他、屈折した俳句を詠んだことにも特徴がある。