源氏物語の和歌について  

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源氏物語の和歌について

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源氏物語は作者紫式部によって11世紀初頭に書かれた日本文学史上最古の小説です。

源氏物語の和歌がどのようなものか、和歌が物語の中にある意味について記します。

『源氏物語』とは

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源氏物語は、日本の古典文学の一つでで、11世紀初頭に女流作家である紫式部によって書かれたとされる日本文学史上最古の小説、物語です。

物語は54の章から成り、各章が独立したエピソードや出来事を含み、全体で795首の和歌が織り込まれています。

和歌が物語内に織り込まれた作品、和歌物語は、他にも『和泉式部日記』や在原業平の『伊勢物語』などが有名です。

『源氏物語』のあらすじ

『源氏物語』は、王朝時代の貴族社会を背景に、主人公である光源氏の生涯を描いたものです。

物語は、愛と苦悩、人間関係の複雑さ、宮廷の儀式や行事などを通じて、当時の貴族社会の様子と日本の文化や風俗を描写しています。

大きな主題の一つが光源氏の恋愛遍歴ですが、並行して貴族たちの栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、普遍的な主題が描かれています。

主人公は光源氏

源氏物語の主人公は光源氏 ひかるげんじ。

容姿、才能など全てを兼ね備えた理想的な男性として描かれており、光源氏のたどる恋愛と成長、出世が源氏物語の大きな主題の一つとなっています。

『源氏物語』の特徴

源氏物語は詩的かつ感受性豊かな表現で知られており、日本文学の傑作として高く評価されていますが、それまでの作品と違う大きな特徴が2つあります。

  • 「ひらがな」で書かれた
  • 女性の作者

源氏物語の特徴の一つは、まだ新しかったひらがなで書かれたということがあげられます。

当時は物を記すのは漢文が主体でした。

もう一つは、やはり紫式部という女性が作者であったということです。

今でこそ女流作家はめずらしくありませんが、この時代には、女性が書いた物語はまだ少なかったのです。

『源氏物語』の作者紫式部について

源氏物語の作者は、紫式部(むらさきしきぶ)という女性の作家です。

紫式部は、本名は藤原香子(かおるこ/たかこ/こうし)とされています。

藤原為時の娘で、藤原道長の要請で宮中に上がり、一条天皇の中宮彰子に女房、つまり女官として仕えました。

身分の高い女性である上、大変な才女で、源氏物語の他にも『紫式部日記』、百人一首に採られた他に和歌が多く詠まれており、歌人としても活躍しました。

中古三十六歌仙および女房三十六歌仙の一人です。

紫式部はどんな人

紫式部は源氏物語を記したことで11世紀の女流作家としてその名を広く知られていますが、生涯については詳細が不明であり、多くの情報が伝わっていないため、彼女の詳細な人物像や生活については謎が多いままとなっています。

紫式部についてわかっていることは平安時代初期の宮廷に仕える女官であったことです。

中宮(後の後冷泉天皇の中宮)の侍読として仕え、宮廷での生活や貴族社会の様子に深い見識を得たために、『源氏物語』の執筆に至ったと考えられています。

紫式部には和歌作品も多数残されており、当時の宮廷文学や和歌に親しんでいたこと、文学的な知識と才能が『源氏物語』に反映されています。

紫式部の百人一首の歌

めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに雲がくれにし夜半の月かな

読み:めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな

現代語訳:

久しぶりにめぐり逢って見たのが確かであるかどうか、見分けがつかないうちにあなたは帰ってしまった。雲に隠れる月のように

紫式部の和歌代表作:
めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに雲がくれにし夜半の月かな 百人一首57番いずれにしても『源氏物語』は文学的な傑作であり、紫式部の名は今後も伝えられていくでしょう。

源氏物語の魅力

源氏物語の特徴は様々な指摘がありますが、おおむね下のようなところがあげられています。

  • 「もののあわれ」の情緒
  • 現実の貴族社会に迫るリアリティ
  • 恋愛・栄光と没落の貴族社会とその風俗など複数のテーマ
  • 次々登場する光源氏の相手の女性のキャラクター

全54巻にも書き継がれた物語を飽きずに読ませるのには、それだけ内容が充実しているといえます。

当時の貴族たちは自分の身に引き比べて、物語を読んだと思われます。

『源氏物語』の和歌

『源氏物語』には全部で795首の和歌が含まれています。

これらの和歌は下の3つの種類に分けられます。

  • 贈答歌
  • 独詠歌
  • 唱和歌

贈答歌

当時の和歌は日常的に伝達手段として使われており、このような和歌の種類を贈答歌といいます。

『源氏物語』の和歌も同様で、光源氏と女性との間で交わされた歌の多くも、手紙のように和歌を贈り合うというものです。

贈答歌の詠み方

贈答歌の慣習としては

  • 男性が女性に向かって最初に和歌を贈る
  • 女性が男性にその歌に対し返歌を贈る

というのが大方の決まりでした。

返歌の詠み方

返歌は

  • 贈られた最初の歌の主要語句を返歌に織り込む
  • 「切り返し」「いなし」の手法を用いる

ということが約束事となっています。

つまり、相手の使った言葉をうまく織り込み、一枚上手な感じで返答をするのが「切り返し」と「いなし」です。

相手の言葉や気持ちをそのまま肯定するのでなく、皮肉やしっぺ返しなどで相手の言いたいことを巧みにかわすのが良いとされていたのです。

関連記事:
贈答歌の解説と代表的な和歌作品

独詠歌

独詠(どくえい)というのは、その時の通り独りで詠む歌のことです。

相手がいない場合に詠まれることが多くあります。

独詠歌の例

物語内では、亡くなった夕顔に対して光源氏が詠んだ歌などが独詠歌に当たります。

独詠歌の数

独詠歌は全部で100首ほどが含まれています。

唱和歌

唱和歌は一つの場を共有した3人以上の人物が次々と歌を詠んでいくというものです。

唱和歌の例

物語では紫上の亡くなるシーンで、紫上、源氏、明石姫君が3人で歌を詠む場面の歌が唱和歌に当たります。

唱和歌の数

物語内には、18組の唱和歌があります。

『源氏物語』の和歌まとめ

『源氏物語』では、主人公光源氏を含めた登場人物が、和歌で互いの気持ちを語り合うため、和歌作品の理解が欠かせません。

一つ一つの和歌を鑑賞しながら物語を読むと、より深く『源氏物語』を楽しめると思います。

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