藤原道長は「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」で有名ですが、他にはどのような和歌を詠んでいたのでしょうか。
藤原道長の和歌を千載集、新古今集、御堂関白集からご紹介します。
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藤原道長はどんな人
藤原道長は平安時代の公卿、貴族の一族の一人です。
藤原道長は歌人というよりも栄華を極めた藤原一族として、その和歌が注目されることが多いです。
藤原一族の歌人
同じ藤原氏で最も有名な歌人は藤原俊成、藤原定家、藤原良経があげられます。
藤原定家は中でも最もよく知られる歌人ですが、道長の5代目の子孫にあたります。
藤原道長の有名な和歌
藤原道長の和歌として知られているのが下の歌です。
この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば
読み:このよをば わがよとぞおもう もちづきの かけたることも なしとおもえば
意味と現代語訳
この歌の意味を現代語訳にすると
この世は私のためにある世界だと思う。この満月のように欠けたところは何一つなく、すべて自分の意のままに満足すべきものである
和歌の出典
この歌の出典は「小右記(しょうゆうき)」という日記です。
その著者は藤原実資 (ふじわらのさねすけ)という人物です。
宴会の席で道長が上のように朗詠したものに返歌を求められたのに対し、一同で上の歌を唱和するように提案。
皆が声を合わせて同じ歌を詠みあげたというエピソードを日記に記したところから、この歌が、今の世にも伝わるようになりました。
この歌自体は藤原道長の歌集にも、他の勅撰歌集にも入手しておりませんで、上の日記が唯一、和歌を伝えるものとなっています。
この歌の詳しい解説は
この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば 藤原道長
藤原道長の歌集
藤原道長の歌集には、歌集『御堂関白集』(みどうかんぱくしゅう)というものがあります。
また、勅撰歌集には、拾遺集をはじめとして、43首が入手しています。
「勅撰歌集」については、古今集の解説 をご覧ください。