月よみの光を待ちて帰りませ山路は栗の毬の多きに
良寛のよく知られた短歌です。良寛和尚の代表的な短歌を3首ご紹介します。
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庵を訪ねた客人が帰ろうとしたときに詠んだ歌。
「月よみ」とは月のこと。「月の神、月読命 つくよみのみこと」から、そう呼ばれた。
意味:
山道は栗の毬が多いので、月の光が出るまで待ってお帰りなさい
これは客人に語り掛けたものが、そのまま歌になっているようだが、万葉集の「月(つく)読みの 光に来ませ あしひきの 山きへなりて遠からなくに」(巻4 670)の本歌取りともいわれている。
この里に手まりつきつつ子供らと遊ぶ春日(はるひ)は暮れずともよし
良寛の人となりとして伝えられる子供との交歓を詠んだ歌。
意味:
この里村に手まりを突きながら子供たちと遊ぶ、この春の日は暮れないでいつまでも続いても良いものだ
たらちねの母がかたみと朝夕に佐渡の島べをうち見つるかも
佐渡は良寛の母上の故郷。
意味:
産みの母のかたみと思って、朝晩佐渡の島を眺めるのだなあ
月を待ち、月の光を恃みに山道を帰る。現代の生活には欠けてしまったものが、歌の中にある。