大辻隆弘さん歌集「景徳鎮」が斎藤茂吉短歌文学賞を受賞  

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大辻隆弘さん歌集「景徳鎮」が斎藤茂吉短歌文学賞を受賞

2018年3月16日

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第29回斎藤茂吉短歌文学賞(山形県など主催)は16日、大辻隆弘さんの歌集「景徳鎮」に決まりました。

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大辻 隆弘さんプロフィール

1960年生。歌人、高校教諭。現代歌人協会会員、『未来』選者、同人誌「レ・パピエ・シアン・Ⅱ」代表。 元皇學館大学講師。現三重県立津西高等学校国語科教諭。

「景徳鎮」 第29回斎藤茂吉短歌文学賞

鳰鳥(にほどり)の水おしひらきゆく胸を水の匂へるかたへにて見き
道の上に落ちし椿の花びらは黒き脂(あぶら)となりて溶けたり
どこからか吹き寄せられて来し花の柿の花ちひさな箱型をして
終りたる花の名残りのくれなゐを臀辺(しりへ)に立てて熟るる
石榴はブラインドの羽根にひとさしゆびを載せ雨を見てゐた野を移る雨を
かろき音立てて真冬の雨は降る欅の枝の深き交差に
橋脚ははかなき寄辺(よるべ)ひたひたと河口をのぼる夕べの水の
そぼそぼと藜(あかざ)に降れる雨をおもふ幾万粒のなかの幾粒

介護の短歌も詠まれています。

背に腕を添へてからだを起こすとき年寄りに成り切りし父と思へり
粘着ける入歯を外しやりたれば頬(ほ)のゆるぶまで病み呆けにけり
梅もうぢき咲くで、と告げぬ垢づきて乾ける父の耳に向ひて
ものいはぬ父の傍(かた)へにゐるときの安らふこころ父は知らざらむ
わが父を葬れる日々に開きけむ辛夷の花も見ずて過ぎにき
父のなき息子となりて花桃のひえびえと咲く白に逢ひたり

受賞したのはこの歌集。

 


代表作を集めたもの

おすすめは評論集です。勉強になります。

評論集『アララギの脊梁』大辻隆弘

日本歌人クラブ評論賞、第12回島木赤彦文学賞受賞

受賞おめでとうございます。




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