河野裕子短歌代表作 夫の永田和宏との相聞  

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河野裕子短歌代表作 夫の永田和宏との相聞

2019年4月26日

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河野裕子さんの短歌の代表作をまとめます。

『平成万葉集』で、夫で歌人の永田和宏さんの短歌と共に紹介されました。

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河野裕子さんの短歌

河野裕子さんは、1946年生まれの歌人ですが、惜しくも病のため、2010年に亡くなりました。

夫は歌人の永田和宏さんで、初期作品には、相聞の短歌が有名で知られるところとなっています。

その代表作品が下のもの。

たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか

読み:たとえばきみ がさっとおちば すくうように わたしをさらって いってはくれぬか

作者と出典

河野裕子『森のやうに獣のやうに』

現代語訳

たとえばですが、ねえあなた、積もる落ち葉を一時にガサっとすくうかのように、私をさらっていってはくれないでしょうか

この背景には、二人の人を同時に好きになったことの逡巡を表す心境とその歌があります。

陽にすかし葉脈くらきを見つめをり二人のひとを愛してしまへり 河野裕子

恋人との時間の中での女性性への意識を詠う以下の歌も有名です

ブラウスの中まで明るき初夏の陽にけぶれるごときわが乳房あり

 

ぽぽぽぽと秋の雲浮き子供らはどこか遠くへ遊びに行けり

読み:ぽぽぽぽと あきのくもうき こどもらは どこかとおくへ あそびにいけり

作者と出典

河野裕子 歌集『あなた』

現代語訳

ぽぽぽぽという感じに秋の空に雲が浮いていて、子どもたちはどこか遠くに遊びに行ったのだよ

解説記事:
ぽぽぽぽと秋の雲浮き子供らはどこか遠くへ遊びに行けり 河野裕子

振り向けばなくなりさうな追憶のゆふやみに咲くいちめんの菜の花の解説

読み:ふりむけば なくなりそうな ついおくの ゆうやみにさく いちめんのなのはな

作者と出典

河野裕子 第一歌集『森のやうに獣のやうに』

河野裕子短歌代表作 歌人で夫の永田和宏との相聞

現代語訳

振り向けば消えてなくなってしまいそうな追憶の中の夕闇に一面に咲いている菜の花よ

解説記事:

河野裕子の晩年の短歌

河野裕子さんの闘病の様子と短歌は番組でも紹介されました。

癌の宣告を受けたとき

歌人として順調だった河野裕子に病の宣告が下ります。

永田さんは、細胞生物学の世界的権威だったので、逆にそのことからも夫婦の間にも亀裂が生じました。

何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋じゃない 河野裕子

文献に癌細胞を読み続け私の癌にはふれざり君は 河野裕子

その頃の夫の歌。

平然と振る舞うほかはあらざるをその平然をひとは悲しむ  永田和宏

どう振る舞っても、河野さんの心は安定を書いていきます。

その頃を河野さんが回顧する歌

あの時の壊れた私を抱きしめてあなたは泣いた泣くよりなくて 河野裕子

運命を受け入れる

このような波を越えて、河野さんは下のような境地に至ります。

生きてゆくとことんまでを生き抜いてそれから先は君に任せる 河野裕子

迫りくる時間の期限は悲しい限りです。

この家に妻との時間はどれくらゐ残ってゐるか梁よ答へよ 河野裕子

そして、ほとんど絶筆の短歌

手を伸べてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が  河野裕子

二人が交わした恋歌は生死を超え今も新しい歌が生まれ続けています。

続きは永田さんの記事をご覧ください。

永田和宏の短歌代表作品 歌人・生物学者 瑞宝中綬章を受章




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