親孝行の短歌  

広告 石川啄木

親孝行の短歌

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今日8月8日は、親孝行の日。

88の重なりから「はは」、それと「はちはち」から「ちち」が導かれるからだそうです。

きょうの日めくり短歌は、親孝行にちなむ、石川啄木の有名な短歌「たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず」をご紹介します。

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親孝行の日

親孝行の日というのは、1989年(平成元年)に親孝行全国推進運動協会が制定したそうです。

なぜ、8月8日なのかというと、「88」が「は(8)は(8)」なのはもちろんですが、「88」が「パパ」とも読めるから。

そしてもう一つは、「88 ハチハチ」を並びかえると「ハハ(母)チチ(父)」となることから、8月8日途に決められたそうです。

 

親孝行の短歌で思い出せるものはというと、石川啄木の「一握の砂」より下の歌、

たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず

読み:たわむれに ははをせおいて そのあまり かろきになきて さんぽあゆまず

作者:石川啄木 『一握の砂』

意味は、

ふざけて母を背負ってみたが、その余りの軽さに涙がこぼれて三歩も歩むことができない

というものです。

母と子のつながりを思わせる啄木の歌の一つとして親しまれてきた歌です。

 

石川啄木は親孝行だったのか

それでは、石川啄木は、その歌のような”親孝行”だったのでしょうか。

近年は、啄木は、借金や、芸者遊びなどのマイナス面が取り上げられて、ネットでは”ダメ人間”呼ばわりをされています。

確かに、性格的には、啄木が自分でも言う通り、自己愛の強い、利己的な人であったのには違いないようです。

ただ、個人的には、啄木は親孝行と言えるかはともかく、大変親思いの人であったように思うのです。

寺を辞めさせられた父

石川啄木の父は、こちらもトラブルの多かった人で、お寺の住職でありながら、お寺の費用の使い込みと借金によって、寺を辞めさせられてしまいます。

両親に収入の途は無くなってしまったのですが、啄木はその後一生、両親を抱えて故郷の岩手はもちろん、北海道にも共に住まい、また東京に呼び寄せたりしました。

親思いでもあった啄木

当時の長男としては、当たり前だったのかもしれませんが、親を放ることはしなかった啄木は、けっして「ダメ人間」どころではなく、その点は親思いで、偉いところがあったと思うのです。

母と啄木の妻節子の間は、きわめて仲が悪かったにもかかわらず、収入のない母を捨てることはできなかったのでしょう。

石川啄木の妻石川啄木の妻堀合節子 天才歌人を支えた献身の生涯

そのために、啄木自身も一家も常に貧乏でしたが、とにかくも、啄木が常に2間程度の小さな借家において、必ず両親と同居を続けたいうのは、やはり立派であったと思わざるを得ません。

歌稿ノート「暇な時」より啄木の歌

掲出歌は、秀歌としてよく知られた歌ですが、どこか映画のワンシーンのような創作めいた匂いを感じます。

歌集『一握の砂』には入れられなかった歌稿ノート「暇な時」には、両親との関わりが、もっと生のままに詠われているものがあります。

父と母猶(なお)ましませり故(ゆえ)に我死ぬを得ざりとまた筆をとる

我が母は今日も我より送るべき為替を待ちて門に立つらむ

両親のためにお金を送ろうと、休まずに心を奮い起こして働こうとする啄木の姿が詠まれています。

妙に創作的でないところ、必ずしも秀歌ではない歌の方に、より真実味が漂います。

お金があるときの親孝行はたやすい。しかし、啄木は、生涯親と一緒に暮らし、そのためもあって暮らしはきわめて苦しいものでした。

働き始めから、両親を背負うというのは、きわめて責任の重いものであったに違いありません。

 

茶断ちをした石川啄木の母

『一握の砂』にある、啄木の母を詠んだ歌、

茶まで断ちてわが平復を祈りたまふ母の今日また何か怒れる

狭い家の中で、啄木の妻と生活苦の中でいがみ合いながら暮らした母は、啄木が結核に倒れると、唯一の楽しみであったお茶を断って、息子の健康を願いました。

が、啄木の亡くなる前年にこの母も結核で亡くなり、妻は啄木の死の1年後に同じ病気で亡くなります。

看取った母が先に亡くなったことは、あるいは啄木の最大の親孝行であったかもしれません。

 

きょうの日めくり短歌は、「親孝行の日」にちなむ石川啄木の短歌をご紹介しました。

それではまた明日!

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