9月7日は「白露」(はくろ)。二十四節気の1つ秋の気配が迫り、光によって白く見える露ができ始める頃とされています。
きょうの日めくり短歌は、伊藤左千夫の短歌「ほろびの光」をご紹介します。
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おりたちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落ち葉深く
読み:おりたちて けさのさむさを おどろきぬ つゆしとしとと かきのおちばふかく
作者
伊藤左千夫
一首の意味
庭に下り立ったら、今朝の寒さに驚いた。柿の落葉の深くまでが露に濡れて冷えている
「おりたちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落ち葉深く」#伊藤左千夫 今日は二十四節気の1つ「白露(はくろ)」秋の気配が迫り、光によって白く見える露ができ始める頃です #白露 https://t.co/xwzE5Oo1zI pic.twitter.com/RrA85bvrNb
— まる (@marutanka) September 7, 2020
伊藤左千夫の代表作「ほろびの光」
伊藤左千夫の代表作ともいえる「寂(ほろ)びの光」の冒頭の歌です。
老年に差し掛かった自分の境涯と重ねて、秋への急激なうつろいを詠んだ一連です。
今朝の朝の露ひやびやと秋草やすべて幽けき寂滅(ほろび)の光
読み:けさのあさの つゆひやびやと あきくさや すべてかそけき ほろびのひかり
作者
伊藤左千夫
一首の意味
今朝の秋の草に下りている朝露の何と冷え冷えと身に迫ってくることか。すべてがもはや滅びであるかのようなかすかな光を帯びて。
一連の中の代表作がこの歌です。
当時伊藤左千夫は、アララギ派の弟子たちであった、島木赤彦、斎藤茂吉らと対立。歌の理念の違いもありましたが、師である伊藤左千夫が頑迷であったこと、逆に弟子たちも若かったことなどもあるかもしれません。
やがて左千夫はアララギの選も降りることとなりました。そのようなさびしい心持が、秋の到来を表す一連の歌に大きく反映しています。
斎藤茂吉は、左千夫と仲が悪くなってしまっていましたが、この一連を詠んで感動し、すぐさま、伊藤左千夫を自宅に訪ねたようです。
左千夫はその後、49歳で急逝しますが、もし命が長らえていたら、弟子たちとの和解もあったと思われ、急逝したことがなおも惜しまれます。
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きょうの日めくり短歌は、伊藤左千夫の露を詠んだ短歌であり、伊藤左千夫の代表作「ほろびの光」をご紹介しました。
それではまた明日!
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