10月22日は詩人の中原中也の亡くなった日の「中也忌」です。
詩人が最初に短歌を詠む例は、萩原朔太郎などにもありますが、中原中也も13歳の頃から短歌を詠んでいました。
きょうの日めくり短歌は、中原中也の短歌をご紹介します。
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中原中也と短歌
詩人・中原中也は詩作に入る前に、短歌を詠んでいました。
13歳から詠み始め、15歳で友人たちと合同歌集「末黒野(すぐろの)」を刊行、30年の生涯で120首余りの作品が残っています。
そののち、ダダイズムの高橋新吉の影響で短歌から詩に転じましたが、「汚れつちまつた悲しみに」などを見てわかるように、ダダイズムの新しい歌を目指しながら、57調の”定型”を残した、詩となっています。
中原中也の亡くなった日中也忌 中原中也の短歌【日めくり短歌】
「汚れつちまつた悲しみに」57調の例
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
「汚れつちまつた悲しみに」の冒頭をご覧ください。
反復を含む定型調も、あるいは、初期の短歌への志向が受け継がれたものであるかもしれません。
中原中也の「 初期短歌」
中原中也の短歌は、107首が「生前発表詩篇」の「
どのようなものかというと、たとえば
人みなを殺してみたき我が心その心我に神を示せり
我が心我のみ知る!といひしまま秋の野路に一人我泣く
このようなものが”中原中也らしい”と思われているようです。
これも若干13歳の時の作品ですので大変に早熟と言えるでしょう。
その初期の習作の中から、整っていると思われるものを選んでみると、
晩秋の乳色空に響き入るおお口笛よ我の歌なる
うねりうねるこの細路のかなたなる社の鳥居みえてさびしき
ひねもすを鳴き疲れたる鳥一羽夕の空をひたに飛びゆく
湯を出でて心たらえり何もかも落ち付きはらう心なるかも
出でゆきし友は帰らず冬の夜更灰ほりみれば火の一つあり
火廻りの拍子木の音に此の夜を目ざめて遠く犬吠ゆを聞く
中原中也の初期の短歌107全首は 中原中也の短歌「生前発表詩篇」の「初期短歌」107全首 の方に掲載しています。
きょうの日めくり短歌は、中也忌にちなんで、中原中也の短歌をご紹介しました。
それではまた!
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