大晦日と年明けの短歌 万葉集と古今集他 大伴家持 紀貫之  

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大晦日と年明けの短歌 万葉集と古今集他 大伴家持 紀貫之

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大晦日の短歌は「晦日歌」と呼ばれる一つです。晦日は各月の終りの日、中でも年末12月の最後の日は、特別な大晦日です。

きょうの日めくり短歌は大晦日の短歌をご紹介します。

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大晦日の短歌

新型コロナの流行後、初めての冬となる今年、大晦日も新年も外出は控えなくてはならないところもあるかもしれません。

しかし、時の流れは変わらないもの、家にあっても大晦日の気分になれるように、いにしえより詠まれた大晦日の短歌をご紹介します。

 

一とせの暦を奥にまきよせてのこる日数のかずぞすくなき

読み:ひととせの こよみをおくに まきよせて のこるひかずの 数ぞすくなき

作者:

藤原知家『三百六十首和歌』

歌の意味

昔の暦は、巻物の形をしていましたので、「巻き寄せる」形になるのですね。

そして、そのおそらく端の方が、これも文字通り髪が短く少なくなっている。

可視化された年の瀬のとらえ方です。

 

あらたまの年行(ゆ)き返り春立たばまづわがやどにうぐひすは鳴け

読み:あらたまの としゆきかえり はるたたば まずわがやどに うぐいすはなけ

作者

大伴家持 「万葉集」

歌の意味

「年が改まって新しい春を迎えたなら、鶯よ、まずわが庭に鳴いてくれ」

「あらたまの」は「年」にかかる枕詞です。その移り変わって新しい年になったら、それをお祝いするために鶯に鳴いてくれというのです。

作者の素朴な喜びが伝わります。

 

ゆく年の惜しくもあるかなますかがみ見る影さへに暮れぬと思へば

読み:ゆくとしのおしくもあるかな ますかがみ みるかげさえに くれぬとおもえば

作者:

紀貫之 「古今集」

歌の意味

「行く年が惜しまれることよ。鏡に映って見える自分の姿までも、暮れ老いてしまったと思えば」

この場合の「暮れ」は年の暮れと、自分の老いとを重ねています。

お祝いではなく、残り少なくなった年月への感慨を詠うものです。

 

明日よりは春の初めと祝ふべし今日ばかりこそ今年なりけれ

作者:

藤原公実(ふじわらのきんざね) 『堀河百首』

歌の意味

「明日は年明け、春の初めと祝う日であり、今年は今日だけとなった」という事実を述べて、年明け前の感慨を詠ったものです。

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