檀一雄の忌日、夾竹桃忌は1月2日です。檀一雄は太宰治の親友の一人でもあった昭和の作家です。
今日の日めくり短歌は檀一雄の辞世の句2首と短歌1首をご紹介します。
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檀一雄の命日
1月2日は、小説家、檀一雄の命日です。
その1976年(昭和51年)1月2日は、夾竹桃忌と呼ばれています。
檀一雄は、太宰治と交流が深かった4人の親友の内の一人で、「走れメロス」のモデルとなったのは、檀一雄とのエピソードだと思われます。
檀一雄の辞世の句
檀一雄の辞世の句として伝わっているものが下のもの
モガリ笛いく夜もがらせ花二逢はん
作者:檀一雄
「花に」の「に」が「二」となっていますが、 病床で最後に書かれたものだそうですので、これはカタカナの「二」ではないかと思われます。
もがり笛は冬の季語
もがり笛は漢字で「虎落笛」。
笛のことではなくて、冬の風の音を笛と見立てた成語で、「冬の激しい風が柵(さく)などに吹きつけて笛のような音で鳴ること」、俳句の冬の季語です。
落日を拾ひに行かむ海の果
こちらの俳句は檀一雄が愛したポルトガルで詠まれた作品で、海の水平線の向こうに沈む夕日を詠ったものです。
この俳句の碑が、リスボンから少し離れたプライア・デ・サンタクルスという浜辺の町に立っています。建立は1992年。
短歌については下の作品が伝えられています。
南の阿波岐の浜に我在りて想ふ事なし年暮れにけり
読み:みんなみの あわきのはまに われありて おもうことなし としくれにけり
「阿波岐浜」は、宮崎県阿波岐町の海辺で、大晦日に泊った時の作品。
檀一雄には『檀一雄歌集』(皆美社1978年)というのがあって、辞世の句の他にも短歌が多く詠まれていました。
檀は、妻リツ子と結婚、一児を授かりますが妻が結核に倒れます。
小説『リツ子・その愛』より
われ在りと肌触れ告げむおのれだに明かすすべなし妻病み果つる
ふるへつつより添ふいのちありといふかぬばたまの夜眼(よめ)暗くしていきどほろしも
妹と植ゑし庭べのさ韮生ひにけりそを取り喰うて羹(あつもの)に泣く
あざらけき玉葱の茎青く切り辛くも堪ゆるいのちにてあらし
そして、看病の甲斐なくリツ子は亡くなります。
荒磯のうしほに濡るる赤き雲丹の赤きを妹が口にふふまする
おしなべて月のくだくる波のむたみだるるうれひありつつ憩ふ
『リツ子・その死』より。
檀一雄の”魂の彷徨”はあるいはこの頃から強くなったのかもしれません。
他に、伝統的な枕詞に始まる作品も
たまゆらの草の葉末の雲に宿る月の光のいのちうれしき
以上今日の日めくり短歌は、檀一雄の辞世の句と短歌をご紹介しました。
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