馬鈴薯のうす紫の花に降る雨を思へり都の雨に 石川啄木  

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馬鈴薯のうす紫の花に降る雨を思へり都の雨に 石川啄木

2021年8月8日

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馬鈴薯のうす紫の花に降る雨を思へり都の雨に 石川啄木『一握の砂』の短歌代表作品にわかりやすい現代語訳をつけました。

歌の中の語や文法、句切れや表現技法と共に、歌の解釈・解説を一首ずつ記します。

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馬鈴薯のうす紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に

読み:ばれいしょの うすむらさきの はなにふる あめをおもえり みやこのあめに

作者と出典

石川啄木  『一握の砂』

現代語訳:

ジャガイモの薄紫の花に降る雨を思った。東京に降る雨なのだが

語句の意味

  • 馬鈴薯…ジャガイモの別名 古い呼び名 花の色は紫色をしている。
    「馬鈴薯の花」はノスタルジーの象徴と言える。下記の「解説」参照。
  • 思へり… 「り」は完了・存続の意味をもつ助動詞
  • 都…東京のこと

句切れと文法

  • 4句切れ
  • 倒置法

 

解説と鑑賞

石川啄木の処女歌集『一握の砂』の「煙二」にある一首。

故郷の追想の歌

一連は、「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」「やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに」などを含む、故郷の追想の歌が占めている。

この歌は、東京の雨に、ふるさと岩手県の渋民村で見た、ジャガイモの畑の風景を思い出したという内容で、結句をあえて「都の雨に」と置くことで、逆にそれがふるさとの雨だということが分かるようになっている。

「都の雨」とは、街に降っている雨の風景だろうと思われるが、ふるさとの土のある風景を思い出した、作者の持つなつかしさが、歌の意味である。

「馬鈴薯」の花はノスタルジーの象徴

この歌の次には

あはれ我がノスタルジヤは金のごと心に照れり清くしみらに

があるため、この歌は「ノスタルジア」を表したものと言える。

「馬鈴薯」の花はその象徴であろう。

ノスタルジアの定義

ノスタルジアまたはノスタルジーは、 異郷から故郷を懐かしむこと、またその懐かしさ。同義語に郷愁・望郷など。 過ぎ去った時代を懐かしむこと、またその懐かしさ。

 

石川啄木と故郷

啄木は、「石をもて追はるるごとくふるさとを出でしかなしみ消ゆることなし」と読んだ通り、ふるさとを出てからは、二度と故郷には帰らなかった。

そのため、故郷への望郷の念と、そこに住んでいた故郷の人々を懐かしむ歌が、多数詠まれており、それが歌集『一握の砂』のテーマの一つとなっ


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-石川啄木
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