邑山の松の木むらに、日はあたり ひそけきかもよ。旅びとの墓 折口信夫  

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邑山の松の木むらに、日はあたり ひそけきかもよ。旅びとの墓 折口信夫

2021年10月6日

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邑山(むらやま)の松の木むらに、日はあたり ひそけきかもよ。旅びとの墓

釈迢空の代表的な短歌作品の現代語訳と句切れ、表現技法について記し ます。

教科書や教材に取り上げられる作品です。

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邑山の松の木むらに、日はあたり ひそけきかもよ。旅びとの墓

読み:
むらやまの まつのこむらに ひはあたり ひそけきかもよ たびびとのはか

作者と出典

釈迢空 『海やまのあひだ』

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釈迢空の短歌代表作

現代語訳と意味

村の近くにある山の松の木立に日の光が差し込んで、ひっそりと静まっているよ。そこにある旅人の墓が

釈迢空の他の短歌
葛の花踏みしだかれて色あたらしこの山道を行きし人あり 釈迢空

語句の意味と文法解説

  • 邑山…村山 里山のこと
  • 木むら…読みは「こむら」。林や木立などを指す

 

「ひそけきかもよ」品詞分解

  • ひそけき…形容詞。基本形「ひそけし」+かも(詠嘆の終助詞)+よ(詠嘆の間投助詞)
  • 「ひそけし」の意味は「窃かである。目立たぬように もの寂しい様子」

句切れと修辞・表現技法

・4句切れ

・通常、それまでの短歌には使われない読点と句点が使われている

・体言止め

読点と字空けの採用

釈迢空は、アララギに最初加入したが、脱退後、北原白秋の『日光』などに参加。

写実派のアララギに対し、『日光』は象徴的な作風を目指しており、作者は、アララギでは用いなかった読点や字空けを採用するようになっている。

このようなスタイルは、伝統を離れたところの新しい短歌を作ろうという意気込みを示すものである。

他にも「むらやま」「こむら」の音韻の共通する言葉を重ねるなどの工夫がある。

解説と鑑賞

釈迢空の代表的な作品の一つ。

なお、釈迢空は、短歌の筆名で、本名は折口信夫(しのぶ)。

国文学者としての調査の途中で詠まれた作品も多くあり、この歌もそのような散策中に出会ったものを詠んだものだろう。

歌にこめた作者の心情

一首のポイントは、「旅人の墓」を憐れむ作者の心情にある。

故郷にも目的地にもたどり着かずに、旅の途中に倒れてなくなってしまった人が、名前もわからないで、ひっそりとそのまま葬られている。

亡くなった人の思いや、帰りを待っていただろう家族もいたかもしれない。

そのようなものに思いを馳せ、心を揺さぶられる作者もまた、孤独な人であったといえる。

釈迢空について

折口 信夫(おりくち しのぶ)は、日本の民俗学者、国文学者、国語学者。柳田國男の高弟として民俗学の基礎を築いた。

釈迢空は、短歌の筆名。國學院大學の教授。《アララギ》同人ののち北原白秋らと《日光》を創刊した。

歌人の岡野弘彦は弟子にあたる。

歌集は『海やまのあひだ』『倭(やまと)おぐな』など。




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