教科書の短歌

ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲 佐々木信綱

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ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲

佐々木信綱の代表的な短歌作品の現代語訳と句切れ、表現技法について記し ます。

教科書や教材に取り上げられる作品です。

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ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲

読み:
ゆくあきの やまとのくにの やくしじの とうのうえなる ひとひらのくも

作者と出典

佐々木信綱  「新月」

現代語訳と意味

秋の終り、薬師寺の塔の上にひとひらの雲が浮かんでいる

佐々木信綱の他の短歌
幼きは幼きどちのものがたり葡萄のかげに月かたぶきぬ 佐佐木信綱【日めくり短歌】

語句の意味と文法解説

  • ゆく秋…過ぎていく秋 晩秋
  • 薬師寺…奈良市にある寺 南都七大寺の一つ
  • 上なる…上にある 所在を示す
  • ひとひら【一片・一枚】平らで薄いもの一つ。

句切れと修辞・表現技法

  • 句切れなし
  • 体言どめ
  • 「の」のつながりの音韻的効果(以下に解説)

 

解説と鑑賞

佐々木信綱の代表的な作品の一つ。

薬師寺の塔の上の空にある雲を詠むことが目的だが、雲は結句の最後に体言止めで置かれている。

助詞の「の」の連続

そこに至るまでに4句を使い、語の全てを助詞の「の」でつなぐことで、雲までの距離が長く、大和の国の空が広く雄大であることと、「ゆく秋」の秋の空の高さを表す。

また、「の」の連続が雲まで一直線である視線の移動をも表している。これは、読み手にとっても同じ効果を表すだろう。

薬師寺という地面にある寺、そして高さのある塔、塔の上と、言葉が繰り出されるところを詠み手が浮かべ、視点が高くなると同時に、最後に雲に至ることになる。

寺と塔、雲という対象物だけではなく、絵のように構図を持たせ、それを体感的に読み手に体験させることに成功している。

佐々木信綱について

佐々木信綱 1872-1963 明治5年ー昭和38年。三重県出身の国文学者。歌人。東京帝大卒。三重県出身。佐々木弘綱の長男。和歌の歴史的研究、万葉の基礎的研究に尽力。明治和歌革新運動を起こし竹柏会を設立。機関誌「心の花」を刊行した。門下に川田順、九条武子がいる。 学士院会員、文化勲章を受章







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