教科書に収録されている短歌を一覧にまとめました。
現代短歌の歌人寺山修司、俵万智、栗木京子、穂村弘などの作品を表示します。
古い時代の短歌の方には、わかりやすい現代語訳、語の注解と解説、文法と表現技法、解説と鑑賞のポイントも加えています。
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教科書の短歌
教科書に掲載された短歌を、近代短歌と現代短歌に分けて記します。
読みたい歌をクリックすると、より詳しい解説のページに飛びます。解説は随時追加していきます。
このページは現代の短歌の方です。
古い時代の短歌は下のページに移しましたので、そちらをご覧ください。
高校教科書の短歌 掲載作品一覧 近代短歌 正岡子規,斎藤茂吉他
海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり
作者:
寺山修司(1935~1983)
現代語訳:
海を見たことがない少女にその広さを説明しようと、麦藁帽をかぶる夏のさ中に私は両手をいっぱいに広げてみせていた
表現技法と句切れ、語の解説:
・句切れなし
・「知らぬ」は終止形ではなく否定の助動詞「ぬ」。
・広げていたり…「広げる+いる」の複合動詞。「+たり」完了・存続の助動詞
*この歌の解説を読む→
海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手を広げていたり 寺山修司短歌
寺山修司は他に
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生
作者:
栗木京子
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生 栗木京子
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
作者:
俵万智(1962 ~)
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 俵万智
他に
思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ
校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け
作者:穂村弘 (1962~)
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け 訳,句切れ
シャボンまみれの猫が逃げ出す午下り永遠なんてどこにもないさ
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
シャボンまみれの猫が逃げ出す午下がり永遠なんてどこにも無いさ/穂村弘
ゼラチンの菓子をすくえばいま満ちる雨の匂いに包まれてひとり
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
ゼラチンの菓子をすくえばいま満ちる雨の匂いに包まれてひとり 穂村弘
他に、
ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は
関連記事:
穂村弘の短歌代表作と作品の特徴
細胞のなかに奇妙な構造のあらわれにけり夜の顕微鏡
作者:永田紅(1975~)
この歌の詳しい解説は下の記事に↓
細胞のなかに奇妙な構造のあらわれにけり夜の顕微鏡/永田紅 意味と鑑賞
卒業生の最後の一人が門を出て二歩バックしてまた出ていった
作者:千葉聡(1968~)
薄明のわが意識にてきこえくる青杉を焚く音とおもひき
作者:佐藤佐太郎(1909年- 1987年)
この歌の解説
薄明のわが意識にてきこえくる青杉を焚く音とおもひき 表現技法 佐藤佐太郎
岡に来て両腕に白い帆を張れば風は盛んな海賊の歌
はとばまであんずの花が散つて来て船といふ船は白く塗られぬ 斎藤史
この歌の解説
岡に来て両腕に白い帆を張れば風は盛んな海賊の歌 斎藤史
斎藤史関連記事:
暴力のかくうつくしき世に住みてひねもすうたふわが子守うた 斎藤史 二・二六事件の短歌
つばくらめ空飛びわれは水泳ぐ一つ夕焼けの色に染まりて
作者:馬場あき子(1928~)
のぼり坂のペタル踏みつつ子は叫ぶ「まっすぐ?」、そうだ、どんどんのぼれ
作者:佐佐木幸綱(1938~)
解説記事:
のぼり坂のペダル踏みつつ子は叫ぶ「まっすぐ?」、そうだ、どんどんのぼれ
他の歌
ジャージーの汗滲むボール横抱きに吾駆けぬけよ吾の男よ
ぽぽぽぽと秋の雲浮き子供らはどこか遠くへ遊びに行けり
作者:河野裕子
解説記事:
ぽぽぽぽと秋の雲浮き子供らはどこか遠くへ遊びに行けり 河野裕子
他に
たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか 河野裕子
早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ
解説記事:
早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ
教科書に掲載の他の現代の歌人の短歌
夏木立ひかりちらしてかがやける青葉のなかにわが青葉あり 荻原裕幸(1962~)
死屍いくつうち起こし見て瓦礫より立つ陽炎に入りてゆきたり 竹山広(1920~2010)
砂あらし 地を削りてすさぶ野に 爆死せし子を抱きて立つ母 岡野弘彦(1924~)
ぞろぞろと鳥けだものを引きつれて秋晴の街にあそび行きたし 前川佐美雄
新しきとしのひかりの檻に射し象や駱駝はなにおもふらむ
あたらしく冬きたりけり鞭のごと幹ひびき合ひ竹群はあり 宮柊二
白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほそきつばさ濡れたり 高野公彦
あやまたず来る冬のこと黄や赤の落葉はほほとほほゑみて散る 岡井隆(1928 ~)
眠られぬ母のためわが誦む童話母の寝入りし後王子死す
解説記事:
岡井隆の短歌代表作品と九州出奔前後の歌
困らせる側に目立たずいることを好みき誰の味方でもなく 平井弘(1936~)
秋草の直立つ中にひとり立ち悲しすぎれば笑いたくなる 道浦母都子(1947~)
虹よ立て夏の終わりをも生きてゆくぼくのいのちの頭上はるかに 早坂類(1959~)
ひまはりのアンダルシアはとほけれどほどけれどアンダルシアのひまはり 永井陽子
ゴッホでもミレーでもない僕がいて蒔きたい種を探す夕暮れ 岡野大嗣
冬の駅ひとりになれば耳の奥に硝子の駒を置く場所がある