係り結びの逆説 和歌の文法解説  

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係り結びの逆説 和歌の文法解説

2021年12月10日

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係り結びの逆説について、解説をまとめておきます。

凡河内躬恒の「春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えねかやはかくるる」が有名です。

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係り結びの逆説とは

係り結びの逆説とは、通常の係り結びとは違い、下のような特徴となります。

  • 文中に用いられることがある
  • 意味は「けれども」の逆説になる

 

※通常の係り結びについてはこちら
係り結びとは 短歌・古典和歌の修辞・表現技法解説

係り結びと「逆説」との比較

通常の係り結び 係り結びの逆説
文末に用いられる 文中に用いられることがある
意味は強調 意味は「けれども」の逆説になる

通常の係り結びは、「だ」と言い切るのに対して、「何々だがそうではなくて、けれども」となるところに違いがあるのです。

 

係り結びの逆説を使った和歌の用例

実際の用例を和歌からあげます。

春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えねかやはかくるる

凡河内躬恒(おおしこうちみつね)の歌。

「色こそ見えね」は、「色は見えないけれども」の意味です。

歌の意味

春の夜の闇はわけのわからないものだ。梅の花は、確かに姿は見えないけれど、その香りだけは隠れるものだろうか、隠れはしない

この歌の詳しい解説
春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えねかやはかくるる 凡河内躬恒

 

恵慶法師の百人一首の歌

「人こそ見えね」は、「人は訪れないけれども」の意味です。

歌の意味

つる草が生え茂る屋敷はとても寂しく、ここを訪ねて来る人は誰もいないのに、秋だけは来るのだなあ

この歌の詳しい解説
八重むぐら茂れるやどのさびしきに人こそ見えね秋は来にけり 百人一首47恵慶法師

 

歌の意味

吹く風の色は見えないが 高砂の尾の上の松に秋が来たのだよ

他にも

かきくらしなほ古里の雪のうちに跡こそ見えね春は来にけり
-宮内卿  新古今春歌上

わが袖は潮干にみえぬ沖の石の人こそ知らね乾く間もなし
-小倉百人一首92 讃岐

以上、係り結びの逆説について解説しました。




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