万葉集

降る雪の白髪までに大君に仕へまつれば貴くもあるか 橘諸兄『万葉集』

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降る雪の白髪までに大君に仕へまつれば貴くもあるか 橘諸兄の和歌の代表作品の解説と鑑賞です。

宴席での題詠の「雪」を盛り込みながら、天皇への賛美を表す歌となっています。

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降る雪の白髪までに大君に仕へまつれば貴くもあるか

読み:ふるゆきの しろかみまでに おほきみに つかへまつれば たふとくもあるか

作者と出典

橘諸兄 万葉集3922

現代語訳

降り積もる雪のように 白髪になるまで大君にお仕え申してきたので何とも尊いことである

語句と文法の解説

・降る雪の…白髪を導くための比喩

・白髪までに…「白髪になるまでに」を簡潔に省略を含んだ表現

・貴くもあるか…貴い畏くありがたいという意味。

ポイント解説

終助詞の「か」
文末において体言または活用語の連体形を受け、詠嘆を表わす。古代では、文中の「も」と相応ずることが多い。

 

解説と鑑賞

歌の題詞に「天平18年正月、白雪多く降り包むことすんなり」とあるのでこの年の正月は大雪であった。

その雪の日に、橘諸兄が太上天皇の御殿に参上して雪かきをした後の宴会の宴席での歌で、橘諸兄の歌は一連の最初に披露された。

天皇から雪を題材として歌を読むように言われたので、「降る雪の」で初めて、天皇に仕える喜びをテーマに、二句以下で、長い間天皇にお仕えしてきたことを感謝して、天皇への賛美を表す。

窪田空穂の評

窪田空穂の評によると

皇恩の洪大なことを感謝している。老大臣にふさわしい歌である。緊張を内に包んでおおらかに、細部にこだわらない。品位ある詠み方をしているのも、その心にふさわしい」また、「形式的ではあるが整っているとしている 。「窪田空穂評釈」他

斎藤茂吉の評

この歌は、謹んで作っているので、重厚な響きがあり、結句の「貴くもあるか」が一首の中心句をなしている。―『万葉秀歌』より

橘 諸兄について

橘 諸兄(たちばな の もろえ)は、奈良時代の皇族・公卿。大伴家持と合わせて、万葉集の選者だったという説が有力なものとなっている。

橘 諸兄(たちばな の もろえ)
奈良時代の廷臣、歌人。敏達天皇玄孫美努王(みぬのおう)の子。母は県犬養三千代(あがたいぬかいのみちよ)。光明皇后の異父兄。初名は葛城王。のち臣籍に下り橘宿禰諸兄という。悪疫で不比等(ふひと)の四子が死没して藤原氏が衰退したのち右大臣となり政権を握る。「藤原広嗣の乱」を乗りきり、恭仁(くに)京の経営に当たり、左大臣正一位に至って朝臣の姓を与えられるなど全盛を極めたが、藤原仲麻呂の台頭によって実権を失う。「万葉集」に八首所載。―https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/moroe2.html

橘 諸兄の万葉集の歌

万葉集の和歌は、他に、

あじさゐの八重咲くごとく八つ代にいませ我が背子見つつ偲はむ 万20-4448

高山の巌いはほに生ふる菅すがの根のねもころごろに降り置く白雪万20-4454







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