新古今和歌集は万葉・古今・新古今の三大和歌集の一つであり、もっとも和歌の盛んな時代のすぐれた歌人とその作品を収録しています。
新古今和歌集の特徴、「新古今調」についてまとめます。
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新古今和歌集とは
新古今和歌集は、鎌倉時代に後鳥羽院の勅命を受けて編纂された勅撰歌集です。
勅撰第8歌集で、1975首を掲載、「八代集」の最後の歌集ともいわれます。
新古今の時代は、もっとも和歌の盛んな時で、歌合(うたあわせ)と呼ばれる和歌の会が催され、貴族たち詠み手ははこぞって歌合に参加、互いに腕前を競い合い、選りすぐりの歌人と和歌作品が生まれました。
歌人の塚本邦雄は新古今集について下のように記した部分は、この歌集の時代と特徴を端的に表しています。
新古今集は、二十一代集中もっとも華麗で、同時に詩想の花束であり、唯一の真の勅撰詞華集である。
新古今和歌集の序文について
新既婚和歌集の序文は。漢文で記した真名序と和文の仮名序があります。
真名序 | 漢文 | 藤原親経 |
仮名序 | 和文 | 藤原良経 |
それぞれが、後鳥羽院に成り代わった立場から記されています。
※古今和歌集の仮名序については
古今和歌集の仮名序とは紀貫之の序文 意味と内容解説 現代仮名遣い
新古今和歌集の歌人
新古今集の代表的な歌人は以下のような人たちです。
- 後鳥羽院(33首)
- 藤原定家(46首)
- 寂漣 (35首)
- 西行 (95首)
- 慈円 (91首)
- 藤原良経 (79首)
- 藤原俊成 (72首)
- 藤原俊成女 29首
- 式子内親王 (49首)
このうち、最多入選を果たしているのは、西行。
以下慈円、藤原良経、藤原俊成、式子内親王、藤原定家、家隆、寂蓮、後鳥羽院と続きます。
新古今和歌集の特徴1「新古今調」
新古今集の特徴は、しばしば「新古今調」という言葉で表されます
新古今調の特徴のひとつは、和歌の雰囲気と内容、もう一つが和歌の構造と技法にあります。
新古今集の和歌の歌風
新古今調の内容の特徴を一言でいうと
幽玄・妖艶・象徴的
ということがあげられます。
もう少し具体的には
- 繊細で優雅な調べ
- 余情の追求
- 耽美(たんび)的・ロマン的・情趣的
- 〈幽玄体〉と称された感覚的な象徴美の追求
などが、新古今調の歌風であるといえます。
新古今調の特徴2和歌の構造
新古今和歌集のもう一つの特徴は、独特の和歌の構造にあります。
短歌の修辞や構造から、新古今の特徴をあげると
- 体言止
- 奇数句切れ
- 本歌取りの技法
- 掛詞、縁語の技法
関連記事:
掛詞 縁語 序詞 本歌取り 和歌の修辞技法をわかりやすく解説
体言止め
体言止めは短歌の結句が、体言=名詞によって終わるものです。
特に、新古今調の場合は、述部が前にある「倒置法」と、述部が省略された「省略法」の二種類があります。
奇数句切れ
奇数句切れとは、奇数にあたる句、初句、三句において、句切れが生じることで、3句切れは特に連歌との関連で多く用いられました。
※句切れの解説
短歌の句切れを解説 短歌の用例
本歌取り
本歌取りというのは、既存の和歌の語句・趣向などを取り入れて作歌することで、 新古今時代に盛んに行われました。
掛詞・縁語
掛詞は同音異義語、縁語は連想をさせる言葉のことで、これらを駆使することで、複雑な技法が盛り込まれました。
新古今の特徴の一つといえます。
以上新古今和歌集の特徴を記しました。