万葉集

ひさかたの天道は遠しなほなほに家に帰りて業を為まさに 山上憶良

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ひさかたの天道は遠しなほなほに家に帰りて業を為まさに

山上憶良作の「令反惑情歌」の反歌として知られる、和歌の現代語訳と解説を記します。

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ひさかたの天道は遠しなほなほに家に帰りて業を為まさに

読み: ひさかたの あまじはとおし なおなおに いえにかえりて なりをしまさに

現代語訳:

志を抱いて天にも昇るつもりだろうが天への道は遠い。それよりも、家に帰って家業に励みなさい

作者と出典:

山上憶良

万葉集 巻8005 800

語の解説:

  • ひさかたの…枕詞
  • 天道…天に上る道
  • なほなほに…直直に。まっすぐに
  • 業…職業

句切れと表現技法

  • 3句切れ

 

解説と鑑賞

山上憶良の長歌「令反惑情歌」の反歌の和歌。

憶良らしい、特殊な内容の和歌であり、万葉集でも特徴的な一首となっている。

「令反惑情歌の反歌

「令反惑情歌」とは、「惑情を反(かへ)さしむる歌」とのことで、その内容は、ある男が、両親や妻子を軽んじるのをみて、その不心得を諭るという目的の物である。

長歌の方は、「父母を見れば尊し。妻子を見ればめぐし愛し、世の中はかくぞ道理」として、、父母と妻子の大切さをまず野辺、さらに、「地(つち)ならば大王います、この照らす日月の下は、天雲の向伏す極…」として、現実社会とその在りようとを述べている。

反歌は、それを長歌で長々と諭したのちに、結論として「家に帰って生業に励め」と呼びかける。

憶良の歌は、描写や気分にとどまらず、憶良独自の考えを大きく反映するものとなっている。

 

斎藤茂吉の『万葉秀歌』より

斎藤茂吉はこの歌を以下のように評価しています。

この歌も、その声調が流動性でなく、寧ろ佶屈とも謂うべきものである。然るに内容が実生活の事に関しているのだから、声調おのずからそれに同化して憶良独特のものを成就したのである。事が娑婆世界の実事であり、いま説いていることが儒教の道徳観に本づくとせば、縹緲幽遠な歌調でない方が却って調和するのである。由来儒教の観相は実生活の常識であるから、それに本づいて出来る歌も亦結局其処に帰着するのである。―『万葉秀歌』より

 

山上憶良について

奈良時代の官人、歌人。没年は733年(天平5)あるいはその数年後以内。歌集『類聚歌林(るいじゅうかりん)』の編者。出自は百済(くだら)の渡来人とする説もあるが不明。『万葉集』に残る作品は和歌75首(長歌11首、短歌63首、旋頭歌(せどうか)1首)、漢詩文12編(散文10編、詩2編)。貧窮問答歌・の他、「令反惑情歌」「思子等歌(こらをおもふうた)」「哀世間難住歌(よのなかのとどみかたきことをかなしぶるうた)」(巻5)、「沈痾自哀文(ぢんあじあいぶん)」等がある。―vhttps://kotobank.jp/word/







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