金剛の露ひとつぶや石の上 川端茅舎 隠喩の表現技法解説  

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金剛の露ひとつぶや石の上 川端茅舎 隠喩の表現技法解説

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金剛の露ひとつぶや石の上

川端茅舎の教科書掲載の俳句の切れ字や句切れ、「金剛の」の初句の表現技法を含む意味の解説を記します。

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金剛の露ひとつぶや石の上

読み:こんごうの つゆひとつぶや いしのうえ

作者と出典:

川端茅舎 かわばた ぼうしゃ

現代語訳

ダイヤモンドのように光を放つ露、その一粒が石の上に光っている

切れ字と句切れ

切れ字「や」

2句切れ

季語

季語は「露」  秋の季語

形式

有季定型

 

解説

秋の風景を露の美しさを主題に詠んだ静物画のような趣の句。

「金剛の」というのは、金剛石、つまりダイヤモンドのこと

この俳句の情景説明

秋の肌寒くなった頃に、屋外の石の上に光の反射を受けて光る露を見て、その風景を詠んだもの。

この句の鑑賞

初句の表現技法の理解がポイントといえる。

「金剛の」の表現技法

「金剛の」は「金剛石」のことで、ダイヤモンドを言う。

初句は「ダイヤモンドのような」と訳せるが、「金剛のような」をあらわす「ごとく」という語がないので、隠喩の表現技法が用いられている。

この場合「ような」や「ごとく」を用いずにダイヤモンドそのものように「金剛の」で続けることで、句としての緊迫感が損なわれないことになっている。

俳句,比喩,解説
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作者の思い

露の美しさに作者の関心が集中していることも、初句及び、句切れの「露ひと粒や」からもそれがわかる。

「や」の終助詞は詠嘆を表しており、露の粒の美しさに作者が感嘆、そのあとで「石の上」として、露のある場所を明確にしている。

画家を志した俳人

川端茅舎は、俳人になる以前は、画家になることを志していたので、この句も絵のような作者の視点が感じられる。

川端の俳句の特徴である美的感覚によって支えられた句となっている。

私自身のこの俳句の感想

石の上のひと粒のダイヤモンドのような露というのが、静寂で繊細な美しい光景です。単なる風景を描写したというのではなくて、実際の景色以上に自然の美が強調されて表されています。露はやがて消えてしまうものなので、そう思って読むほど、句の中に貴重な一瞬の時間が静止している感じがします。

 

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一枚の餅のごとくに雪残る

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約束の寒の土筆を煮て下さい

咳き込めば我火の玉のごとくなり

川端茅舎について

かわばた‐ぼうしゃ〔かはばたバウシヤ〕【川端茅舎】
[1897~1941]俳人。東京の生まれ。本名、信一。竜子 (りゅうし) の異母弟。高浜虚子に師事。「ホトトギス」同人。句集に「華厳 (けごん) 」「白痴」など。




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