俳句の比喩表現3つ 用例と解説  

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俳句の比喩表現3つ 用例と解説

2022年10月23日

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俳句の比喩表現では、主に3つの種類の比喩、直喩と隠喩、魏婚法が使われます。

直喩と隠喩は「ごとく」や「ように」の語を使うか使わないかで違いが分けられます。

俳句の3つの比喩表現を用例をあげて解説します。

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比喩とは何か

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比喩というのは、物事の説明や描写に、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現することをいいます。

比喩を用いた表現のこと、それ自体を比喩と呼ぶこともあります。

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比喩の目的

比喩の目的は大きく分けて2つあります。

ひとつは、物事を直接に描写・叙述・形容せずに、たとえを用いて理解を容易にすることが目的です。

もう一つは、詩歌において、比喩は表現に味わいを加える修辞法として用いられています。

比喩の例

日常生活でも比喩は使われます。

「お月様のように真ん丸な」というと、ただ「丸い」というよりもイメージがしやすくなります。

また、単に「丸い」というだけではなくて、そこにはない「月」のイメージを加えイメージを広げることができます。

短歌などの詩歌では、この後者の効果をもたらす表現として比喩は表現技法として多く用いられています。

直喩と隠喩を使った俳句の例を見ていきましょう。

 

俳句の直喩の例

直喩の俳句の例をご紹介します。

「ごと・ごとし」の直喩の例

葡萄食ふ一語一語の如くにて

比喩の意味は 葡萄が言葉の一語のようだ というもの。

「如く」が用いられているので、直喩が用いられています。

この句の解説記事:
葡萄食ふ一語一語の如くにて

 

日と月のごとく二輪の寒牡丹 鷹羽狩行

比喩の意味は 植物の牡丹が太陽と月のようだ というもの。

「ごとく」が用いられているので、直喩が用いられています。

 

天の川怒濤のごとし人の死へ 加藤楸邨

比喩の意味は 天の川が怒涛のようだ というもの。

「ごとし」が用いられているので、直喩が用いられています。

 

ところてん煙の如く沈み居り    日野草城

ところてんが露の中に棒っと煙ったようになっている。

その様子を「煙のように」と直喩で表現しています。

 

一枚の餅のごとくに雪残る 川端茅舎

雪が地面に平べったく平ら広がっているのを、餅にたとえて直喩で表現しています。

 

俳句の隠喩の例

ここからは俳句の隠喩の例をあげます。

「ごとし」や「ように」を使わないで表現する方法です。

つきぬけて天上の紺曼珠沙華 山口誓子

「つきぬけるような」の「ような」や「ごとし」を使わずに、空の紺色が「つきぬけて」とズバリと言い切っています。

「つきぬけて」の部分は動詞ですが、一種の直喩と言えます。

この句の解説記事:
つきぬけて天上の紺曼珠沙華

 

旅終へてよりB面の夏休 黛まどか

「B面のよう」になってしまった、という比喩を、短く「B面の夏休」として直喩を取り入れています。

この句の解説記事:
旅終へてよりB面の夏休 黛まどか 季語と意味 表現技法解説

 

金剛の露ひとつぶや石の上 川端茅舎

金剛とはダイヤモンドのことです。

「露がダイヤモンドのようだ」と言わずに、「金剛の露」として、直喩で表現しています。

この句の解説記事:
金剛の露ひとつぶや石の上 川端茅舎

「ごとし」や「ように」を使わずにずばりと表現する印象の強い歌が多く比喩が適切だとインパクトのある作品となります。

俳句の擬人法の例

ここからは俳句に擬人法を用いた句作品を紹介します。

ふるさとを取り戻しゆく桜かな 照井翠

桜を人に見立てて、主体的に「取り戻す」としているところが、擬人法の表現です。

この句の解説記事:
ふるさとを取り戻しゆく桜かな 照井翠 俳句の大意と感想

 

海に出て木枯らし帰るところなし 山口誓子

風の一種である木枯らしを人のように「帰る」と表現しているところが擬人法です。

海に出て木枯らし帰るところなし 山口誓子

 

芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏

その「影を正す」の主語は連山、つまり山です。

人のような「正す」が擬人法です。

芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏

 

菜の花がしあはせそうに黄色して 細見綾子

人ではない「菜の花」が幸せそうであるというのは擬人法ですね。

さらに「黄色する」と菜の花が意志を持って自ら黄色になったような部分も擬人法と言えます。

菜の花がしあはせそうに黄色して 細見綾子

 

カブトムシ地球を損なわずに歩く 宇多喜代子

かぶとむしが「歩く」のは擬人法ではありませんが、「地球を損なわずに」のところはあたかもかぶとむしに人間のような医師があるかのようで擬人法を思わせます。

カブトムシ地球を損なわずに歩く 宇多喜代子

 

行く春や鳥啼魚の目は泪

松尾芭蕉の矢立て始めの句として有名な作品。

魚に泪というのは、擬人法と言えます。

鳥が鳴くのは擬人法とはいえませんが、この句では魚の涙と同じように、鳥は惜別の念をもって鳴いているのですね。

動物皆が意志を持った行動をするこの俳句の中の世界では、作者の思念が人だけではなく大きく広がっていくのです。

行く春や鳥啼魚の目は泪 現代語訳と解説 松尾芭蕉「おくのほそ道」の矢立て始めの句

 

俳句の比喩表現のまとめ

俳句や俳句の詩歌における比喩は、表現に無限の幅を与える大切な表現技法のひとつです。

他の俳句でも類似の表現を見つけたらよく読んで味わってくださいね。




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