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オオカミに蛍が一つ付いていた 金子兜太 季語 句切れ 大意解説

更新日:

オオカミに蛍が一つ付いていた 金子兜太の有名な俳句、現代語訳と季語、意味の解説、作者の思いやこの句を詠んでの感想を記します。

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オオカミに蛍が一つ付いていた

読み:おおかみに ほたるがひとつ ついていた

作者と出典:

金子兜太 かねことうた 「東国抄 」

現代語訳

狼に蛍が一つくっついていた

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表現技法

・現代語の口語で詠まれた句

切れ字と句切れ

・切れ字なし

・句切れなし

季語

季語は「蛍」 夏の季語

形式

有季定型

 

解説

現代の俳人、金子兜太の代表的な俳句。

野生の動物を題材に素朴で線の太い句となっており、作者の特徴とされている。

原始的で民話的でファンタジックな世界を紡ぎ出す「オオカミ」と「蛍」の取り合わせが印象的である。

俳句の背景

狼は絶滅しているとされているが、金子兜太の郷里の秩父の山にはかつては狼が住んでいたという。

オオカミと蛍の共通イメージ

蛍は、絶滅はしていないが、近年は見られなくなったといわれている。

死者の魂の象徴とされる生物。

オオカミは絶滅種ではあっても、野生の王者、強い動物のイメージだが、蛍はいかにもはかない生き物といえる。

この句の大意と解釈

絶滅種であるオオカミを作者が目撃したとは考えにくい。

あるいは、夢の中にでてきそうなファンタジックなイメージである。

句の中では狼は「オオカミ」とカタカナで表記されており、実物ではなくイメージである印象が強い。

「死んでも命は別のところで生きている」

毎日新聞のコラム「余禄」の解説では、作者金子兜太が、毎日立禅を行っていたと記している。

あるいは、この句はそのような瞑想の中で生まれたものかもしれない。

作者自身は、禅の中で得た着想に

「死んでも命は別のところで生きている」

と述べたという。

「命」の象徴

オオカミや蛍はまさに、この「命」を象徴するものに違いない。

作者の郷里にいたというオオカミは、故郷にいた自由な作者の心を暗示する。

しかし、故郷の思い出には今は亡くなってしまった血縁や風景への惜別の念も伴うだろう。

オオカミと蛍両方は、なつかしさと惜別、作者の故郷への様々な思いを象徴するものと考えられる。

それら滅び去ったもの、滅びの途上にあるものは、作者のいう”別な世界”において生きている。

そして、オオカミのイメージが蛍を連れてくるように、作者の心の中で連鎖を続けて途絶えることがないのだ。

私自身のこの俳句の感想

オオカミと蛍の取り合わせが、まるで童話や物語のようです。オオカミがやってきたと思ったら、その背中に蛍が光っているような情景が想像できます。文字通り「オオカミに蛍が付いてきた」。「付いて」の漢字は、後を追って飛んできたのではなくて、蛍とオオカミがセットになっている様子なのでしょう。作者にも印象的で句として詠まれた情景は、不思議でありながらも作者の心が生み出した必然です。そして、実際オオカミが住んでもいた故郷のその昔なら、これがほんとうの風景として、オオカミと蛍が寄り添っていたこともあったかもしれません。

 

金子兜太について

金子さんは1919年、埼玉県生まれ。水戸市の旧制高校在学中に俳句を開始。

東京帝国大学経済学部卒業後、日本銀行に入行直後に海軍に入隊。戦争を経験後、社会性の強い「現代俳句」の旗手として活躍。87年から「朝日俳壇」選者、現代俳句協会名誉会長。

金子兜太の他の俳句

銀行員ら朝より螢光(けいこう)す烏賊(いか)のごとく

白梅や老子無心の旅に住む

水脈(みお)の果て炎天の墓碑を置きて去る

長寿の母うんこのようにわれを産みぬ

原爆許すまじ蟹かつかつと瓦礫歩む

彎曲し火傷し爆心地のマラソン







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