をりとりてはらりとおもきすすきかな 飯田蛇笏(いいだだこつ)の教材の俳句の意味と切れ字や擬態語、一物仕立ての表現技法の解説を記します。
スポンサーリンク
をりとりてはらりとおもきすすきかな
現代語での読みと発音:
おりとりて はらりとおもき すすきかな
作者と出典:
飯田蛇笏
現代語訳
折りとって手に持って見ると、すすきの穂がはらりとしなだれて意外にも重いすすきであるよ
句切れと切れ字
・句切れなし
・切れ字「かな」
季語
・季語は「すすき」
「秋」の季語
形式
有季定型
表現技法
・一物仕立て
・擬態語「はらりと」
・ひらがな表記
一物仕立てとは
語句と文法
・「をりとりて」…「折りとる」が基本形の複合動詞 「て」は接続助詞
「をる」は旧字。「おりとる」に同じ。
・はらりと…擬態語の副詞で「重き」にかかる
・重き…基本形「重し」の形容詞
・かな…詠嘆
解説
飯田蛇笏のすすきを詠んでよく知られる俳句。
「はらりと」の擬態語に特徴がある。
作者の思い
「はらりと」はすすきの穂の状態を表現、しなだれた繊細な姿であるが、すすきの茎の長さもあって、すすきの穂が開いて、茎の先にある穂が空気の抵抗を受けているのだろう。
それが、思ったよりも意外に重いというところに、作者の気づきと軽い驚きがある。
一句を「ひらがな」で表現
この句は、全部の文字がひらがなで記されている。
俳句や短歌に置いて、ひらがな、または漢字を用いるかどうかの表記の選択は、作者にゆだねられた一つの表現である。
すすきには「薄」という感じもあるが、ここでは、作者はそれを含めて、一句全部をひらがなで詠んでいるが、これは、すすきの柔らかい線の細い感じを表していると思われる。
飯田蛇笏の他の俳句
飯田蛇笏について
読みは、いいだだこつ。本名は武治。山梨県生まれ。早稲田大学中退。芭蕉に傾倒して、高浜虚子の指導を受ける。衆生てきて雄勁荘重な工夫を樹立。句集「山蘆集」「山響集」他。