万葉集

山部赤人 代表作一覧

山部赤人は初期万葉集の代表的な歌人の一人です。

山部赤人作の和歌代表作品に現代語訳をつけて一覧でまとめます。

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山部赤人の万葉集の和歌

山部赤人は初期万葉集の代表的な歌人の一人です。三十六歌仙にも選ばれています。

柿本人麻呂と共に「歌聖」(かせい)と呼ばれ、赤人の和歌はいずれも名作とたたえられています。

山部赤人の代表作の和歌をご紹介します。

各短歌の詳しい解説は、リンク先の個別詳細記事にてご覧ください。

山部赤人の代表的な和歌

山部赤人の歌には長歌と短歌がありますが、ここでは短歌のみをご紹介します。

まず、赤人の代表的な作品から取り上げます。

 

田子の浦ゆうち出でてみればま白にぞ富士の高嶺に雪は降りつつ

読み:たごのうらゆ うちいでてみれば ましろにぞ ふじのたかねに ゆきはふりつつ

作者

山部赤人 万葉集 3-318  新古今集675 百人一首4番

現代語訳

田子の浦の海岸を先の方まで歩いて行ってそこから見ると、真っ白に富士山の高嶺に雪が降り積もっていることだ

解説

山部赤人最も有名な歌で、百人一首にも採られています。

赤人の特徴である叙景歌の優れたところがみられます。

海と富士、雪の取り合わせが一枚の絵のように一首に見事に描かれているのです。

 

若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る

読み:わかのうらに しほみちくれば かたをなみ あしへをさして たづなきわたる

作者

山部赤人 万葉集 6-919

山部赤人の代表作和歌一覧

現代語訳

若の浦に潮が満ちてくると干潟がなくなるので 足の生えた岸辺に向かって鶴が鳴きながら渡っていく

解説

長歌と反歌二首からなる歌の、第二反歌になる歌。

この歌も見事な叙景歌で「葦べをさして鶴鳴き渡る」の下2句が優れています。

静止画ではなく動画というべき、広い空間の中で海の潮と鳥が連動する動きを詠んだダイナミックな歌です。

 

み吉野の象山の際の木末にはここだも騒ぐ鳥の声かも

読み:みよしのの きさやまのまの こぬれには ここだもさわく とりのこゑかも

作者

山部赤人 万葉集 6-924

現代語訳

み吉野のの象山の山あいの木々の梢には、こんなにも多く鳴き騒ぐ鳥の声であるよ

解説

吉野の地を賛美する歌で鳥の声という聴覚を表す「ここだも-」の下句が優れています。

鳥の声はこの地の繁栄を象徴的に表しているのです。

 

我も見つ人にも告げむ勝鹿の真間の手児名が奥つ城ところ

読み:われもみつ ひとにもつげん かつしかの ままのてこなが おくつきところ

作者

山部赤人 万葉集 3-432

現代語訳

私も見た 人にも教えよう 葛飾の真間の手児名の墓のある場所を

解説

山部赤人が、下葛飾の真間娘子の墓を見て詠んだ長歌の反歌。

手児名は乙女のことで、真間の手児名は万葉の時代の伝説のひとつで多くの歌人に詠まれています。

 

春の野にすみれ摘みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にけり

読み:はるののに すみれつみに とこしわれそ のをなつかしみ ひとよねにける

作者

山部赤人 万葉集

現代語訳

春の野に菫を積みに来た私は、野に心惹かれ、ひと晩そこに泊ったのだなあ

解説

小さな野生のすみれの花への愛着と自然への憧憬が詠まれた歌。

自然の野に抱かれて眠りたい、という素朴な心持が表されています。

 

あしひきの山谷越えて野づかさに今は鳴くらむ鶯の声

読み:あしひきの やまたにこえて のづかさに いまはなくらん うぐいすのこえ

作者と出典

山部宿祢赤人(やまべのすくねあかひと)

万葉集 3914

現代語訳

山や谷を越えてはってきて野原の真ん中で今は羽ばたいているだろう鶯の声よ

解説

人気のない野原でのびのびと春を楽しむかのような鶯を詠んだ歌。

鶯の声という聴覚的な点にポイントがあります。

赤彦が病床で詠んだという説もあり、静かで素朴な美しさがあります。

 

ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く

読み:ぬばたまの よのふけゆけば ひさきおうる きよきかわらに ちどりしばなく

作者と出典

山部赤人(やまべのあかひと)

現代語訳

夜が更け渡ると久木の茂っている景色の良い河原に千鳥がしきりに鳴いている

解説

行幸に際して見聞した芳野川の夜の風景を詠んだ歌で、この歌も千鳥の鳴き声という聴覚的な描写にポイントがあります。

山部赤人の他の和歌

縄の浦ゆそがひに見ゆる沖つ島榜ぎ廻る舟は釣しすらしも(3-357)

武庫の浦を榜ぎ廻る小舟粟島をそがひに見つつともしき小舟(3-358)

我も見つ人にも告げむ勝鹿の真間の手児名が奥つ城ところ(3-432)

沖つ島荒磯の玉藻潮干満ちい隠りゆかば思ほえむかも(6-918)

若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴たづ鳴き渡る(6-919)

み吉野の象山きさやまの際の木末にはここだも騒く鳥の声かも(6-924)

ぬば玉の夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く(6-925)

玉藻刈る辛荷にの島に島廻(しまみ)する鵜にしもあれや家思はずあらむ(6-943)

島隠り我が榜ぎ来れば羨しかも大和へ上る真熊野の船(6-944)

風吹けば波か立たむと伺候に都太の細江に浦隠り居り(6-945)

明日よりは春菜摘まむと標し野に昨日も今日も雪は降りつつ(8-1427)

百済野の萩の古枝に春待つと居をりしうぐひす鳴きにけむかも(8-1431)

あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいと恋ひめやも(8-1425)

恋しけば形見にせむと我が屋戸に植ゑし藤波今咲きにけり(8-1471)

 

 

山部赤人について

山部赤人 (やまべのあかひと) 生没不詳

神亀元年 (724) 年から天平8 (736) 年までの生存が明らか。国史に名をとどめず、下級の官僚と思われる。『万葉集』に長歌 13首、短歌 37首がある。聖武天皇の行幸に従駕しての作が目立ち、一種の宮廷歌人的存在であったと思われるが、ほかに諸国への旅行で詠んだ歌も多い。
短歌、ことに自然を詠んだ作はまったく新しい境地を開き、第一級の自然歌人、叙景歌人と評される。後世、柿本人麻呂(かきのもとの-ひとまろ)とともに歌聖とあおがれた。三十六歌仙のひとり。




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