教科書の詩

【解説】岩が 中3国語 吉野弘の詩の表現技法と内容の鑑賞

『岩が』は作者 吉野弘 の詩です。

教科書にも掲載されている『岩が』の詩の意味、表現技法を解説、作者の思いや伝えたいことを解説・鑑賞します。

『岩が』は教科書の詩

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『岩が』の作者は 吉野弘、中学校3年生の国語教科書に掲載されています。

吉野弘の詩は他にも、

吉野弘「夕焼け」

吉野弘の詩「二月の小舟」

があります。

※他の教科書の詩の解説は
教科書の詩 教材に掲載される有名な詩一覧

 

この記事では、最初の『岩が』の詩を解説します。原文を以下に提示します。

 

『岩が』 全文

以下が詩の全文です。

味わいながら読んでみましょう。

岩が しぶきをあげ
流れに逆らっていた。

岩の横を 川上へ
強靭な尾をもった魚が 力強く
ひっそりと 泳いですぎた。

逆らうにしても
それぞれに特有な
そして精いっぱいな
仕方があるもの。

魚が岩を憐れんだり
岩が魚を卑しめたりしないのが
いかにも爽やかだ。

流れは豊かに
むしろ 卑屈なものたちを
押し流していた。

 

『岩が』の形式

『岩が』の形式は次のように考えられます。

  • 5連
  • 口語自由詩

『岩が』は間に行を挟んだ5つのまとまりでできている 5連の詩です。

言葉は、私達が普通話している言葉 口語 が用いられています。

575などの定まった字数を持たない 自由詩です。

 

※詩の形式については下の記事で確認できます。

詩の形式 種類と見分け方 口語自由詩・文語定型詩など

 

『岩が』の表現技法

使われている主な表現技法は

  • 擬人法
  • 体言止め
  • 対句

があげられます。

擬人法

擬人法とは、人間でないものを人間にたとえる表現方法で、比喩の一種です。

この詩では、

  • 「岩が流れに逆らう」
  • 「魚が岩を憐れむ」
  • 「岩が魚を卑しめる」

などの表現が擬人法です。

主語が人ではないものが人に見立てられて、人のような振る舞いをする動詞が続いています。

体言止め

体言止めは 文章の終わりが名詞で終わるものです。

体言は、名詞を指します。対する用言は動詞です。

「仕方があるもの。」の部分は、句点がついて文章の終わりとなっており、「もの」は名詞です。

対句

魚が岩を憐れんだり
岩が魚を卑しめたり

の部分が、対句といえます。



『岩が』のないy 解説

この詩の内容を考えながらさらに詳しく読んでいきましょう。

作者の思い

この詩に込められた作者の思いは

流されるだけではなく、 自分の意見、自我を持つ

というところにあると思われます。

また、川の流れは「社会」の比喩であり、岩や魚は大きな社会の中の個人の比喩です。

作者吉野弘は社会の中の個人のあり方について、この詩の中で訴えており、それがこの詩の主題でもあります。

詩の内容

詩の登場人物は何かというと、「岩」と「魚」の2つです。

その岩と魚の態度の比較がなされているのが前半の内容です。

登場する「岩」と「魚」のそれぞれの特徴をつかむ

「岩」と「魚」の特徴

最初の行「岩が流れに逆らっている」というのは、社会や全体の中での個としての一人の人を指します。

そこに、流れをさかのぼって泳ぐ魚がいます。

魚はなぜ登場するのかというと、岩とは違った上手な逆らい方をする登場人物として表されています。

作者はそれを「それぞれに特有な そして精いっぱいな 仕方」として観察をしています。

  • 岩・・・盛んにしぶきを上げて逆らう
  • 魚・・・ひっそりと力強く川を遡る

 

それぞれの「しぶきを上げて」と「ひっそりと力強く」の特性の差を思い浮かべてみましょう。

「しぶき」は他の人が見てもわかるものですので、たとえば声高に主張をしたり、逆らうための何らかの行動をしていると考えることができます。

一方で、「ひっそりと力強く」というのは、あくまで「ひっそり」なので、派手に意見を述べて主張しようとしない、それでいて意思は強く変わらないという態度が想定できます。

  • 岩・・・しぶき⇒逆らうための派手な言動をする様子
  • 魚・・・ひっそり力強く遡る⇒言動は目立たないが意思が強い様子

 

そして、「岩」と「魚」そのように態度が違っても、お互い反目したり、相手を悪く言ったりはしていない。

作者は、それぞれの違いを認めた上で、彼らが互いに批判し合うことなく共存していることを「爽やかだ」と断定します。

最後の「卑屈なものたち」とは

「岩」と「魚」に対して、最後の一連ではそのどちらでもない「卑屈なものたち」というのが現れてきます。

これはどういうものかというと、さからうという行動も意思も持たない人たちです。

卑屈の意味

この場合の卑屈の意味は、

必要以上に自己評価や自尊心を下げている

ということになるでしょう。

作者は、上の4連では「流れ」とそれに逆らう物を象徴的に「岩」と「魚」としていたわけですが、最後の一連では、「流れは豊かに」として流れを肯定しています。

そして逆にそれに「逆らわない人たち」を「卑屈」と批判をしているのです。

なんの意思も持たない、行動もしない人は、ただ、流れに飲まれていくだけだよ という作者のメッセージがここにあるといえます。

詩の作者吉野弘について

吉野弘 よしの‐ひろし1926~2014

日本の現代の詩人。山形の生まれ。昭和28年(1953)、詩誌「櫂(かい)」に参加。平易な言葉で人間の温かみを描いた叙情詩で知られる。詩はやさしい文体で日常のなかの生の不条理、またそれへの愛を歌う。

昭和46年(1971)、詩集「感傷旅行」で読売文学賞受賞。他に詩集「幻・方法」「自然渋滞」など。




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