『コロナ禍歌集』『続コロナ禍歌集』現代歌人協会発行が天声人語で紹介  

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『コロナ禍歌集』『続コロナ禍歌集』現代歌人協会発行が天声人語で紹介

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「コロナ禍歌集」現代歌人協会発行の歌集が朝日新聞の天声人語で紹介されました。

「コロナ禍歌集」の内容についてお知らせします。

「コロナ禍歌集」とは

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「コロナ禍歌集」は現代歌人協会が発行。

これまでに『二〇二〇年 コロナ禍歌集』と『続 コロナ禍歌集 2021年~2022年』の二冊が発行されています。

内容はタイトルの通り、コロナという災禍に見舞われた後、コロナに対峙し、コロナと闘い、またはコロナと共にある生活や社会を主題に詠んだ短歌集です。

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「コロナ禍歌集」の内容

アマゾンの紹介文では

2021年5月刊行のアンソロジー『2020年 コロナ禍歌集』の続編。 「コロナ禍」を短歌で表現した644首。 第2部には、科学者でもある永田和宏氏の講演「コロナ的非日常の日常」を採録。 資料として「コロナ禍をめぐる主なできごと」(年表)他も収録。 歌人たちが「コロナ禍」とどのように対峙したかが見える1冊となっている。―『続 コロナ禍歌集 2021年~2022年』のアマゾン概要より

「コロナ禍歌集」の作品

3月16日の朝日新聞の天声人語欄で、掲載の短歌が紹介されました。

作者は現代歌人協会に属する歌人の方たちです。

掲載の作品をこちらもに紹介させていただきます。

 

人類は「パンツをはいたサル」であり「マスクをつけたサル」ともなつた

作者は香川ヒサ (作者名は歌人なので敬称略)

マスクについては現在は、「個人の判断」に着用を任されるようになりました。

それで、天声人語では「コロナ禍歌集」から、主にマスクの短歌を取り上げています

 

使ひ捨てマスクなれども丁寧に洗ひ青葉の風に干したり

作者 江坂美知子

マスクが不足した頃のことを詠っています。

 

マスクしてレジを待ちをり足型のところに立てと言はれて立ちて

作者 小橋芙沙世

コロナ前はあの足のマークはなかったことが思われます。

 

悪人は誅殺(ちゅうさつ)せよと激しゆく覆面(マスク)の人はわが内にいる

作者 谷岡亜紀

マスクをする人がしない人を”断罪”するという事件は何度も取り上げられました。

その内面を客観的に見つめています。

 

焼香はなく拝礼のみ 故人だけがマスクをつけず写真に笑まふ

作者:大口玲子

参列者は皆一様にマスクをしているが、死者にはマスクは不要なのです。

 

去年(こぞ)今年出会いし人にまだ顔の下半分を見せてはいない

作者 小林靄(あい)さん。

学校の子どもたちは入学後にこの状態で日々を過ごしていたことも取り上げられました。

 

せめてもの口紅だけが武器だったコロナ禍のわれ丸腰でござる

作者 高橋美香子

「丸腰」とのたとえがおもしろいですね。

 

春と呼ぶ陽ざしの届く木の椅子にあなたと座る必ず座る

作者は寒野紗也。

この歌はマスクの短歌ではありませんが、もちろん、マスクをしていない状態であることが前提でしょう。

ううむ、そう思うと恋人たちにはマスクは意地悪なツールであったことにも思い当たりますね。

他のコロナ禍の短歌

本書ではない朝日新聞掲載の短歌から、コロナ禍の短歌をまとめます。

コロナ禍の最初の短歌

朝日歌壇の掲載したコロナ禍最の投稿作品で掲載された短歌は以下の歌だそうです。

薬局のマスクの棚の空白に薄き不安が積もりてゆけり  水谷実穂

朝日歌壇選者のコロナの短歌

朝日新聞の選者が詠んだコロナを題材とする短歌は以下の通りです。

不要不急の人ともなりて青葉濃し破滅しさうな浦島となる 馬場あき子

今日の死者二十五とあり二十五の顔と五十本の手を思うべし 佐佐木幸綱

コロナ禍で消えた無数の灯(ひ)の一つ神保町の飲屋〈酔(よ)の助(すけ)〉高野公彦

すでに目盛りは一〇〇〇万まで切られゐてそのおほよその到達時間 永田和宏

 

朝日歌壇の投稿歌より

朝日歌壇に投稿されたコロナ禍の短歌で本ブログに掲載させていただいた歌の数々です。

マスクの短歌は、以下の作品が懐かしいですね。

届いてもしないだらうなアベノマスク議員の誰もしてないぢやないか
―岐阜市 臼井均

街中にマスクあふるる頃となり二枚のマスク届く違和感
―池田市 竹内和子

絶対にマスクはしないトランプさん他のマスクはできない安倍さん
―防府市 藤田淳子

教室のアクリル透して再開す「檸檬」の朗読マスクにこもりて
―小松市 沢野唯志

差し出した手のひらスルーしトレーへと置かれた釣り銭無言で拾う
―唐津市 野地香
リモートの仕事に体が慣れて規則正しき在宅勤務
―蓮田市 平田栄一

 

マスク以外のコロナの短歌も参考になります。

咳をする静まり返るバスの中「花粉症です」被告のごとし 和田順子

ひゅんひゅんと客無き土俵に響きいる弓の鋭く空(くう)を切る音 篠原俊則

最後までコントか本当か分からない手品のように消えたおじさん 澤田佳世子

働き方改革コロナウイルスでダブルパンチ受く非正規の子 芝弥生

動画にはソファーに寛(くつろ)ぐ首相あり格差社会の現実ここに 神蔵勇

ぼくはもう大きくなっちゃうよ東京のパパはじしゅくで帰ってこない 石塚文人

人を避け人に避けられ雑踏の街をマスクとマスクの孤独 美原凍子

面会の出来ぬコロナ禍病室の夫仰ぎ見る傘横向けて 玉利淑栄

痩せ細り母が母ではないような哀しい写真施設より届く 内山春日

戦時中千人針縫う女らの祈り同じくマスク縫う今 中川雪枝

パソコンの前の飲み会「おいしいよこれ食べてみて」と言えないのがな 上田結香

「いってきます」いつもの通り居間を出し夫は七歩で〈職場〉に入る 大曽根藤子

 

なお当ブログに引用させていただいた作品については、掲載された作品とそうでない作品との優劣を問うものではありません。

短歌を詠む方はこれらの作品を参考に、コロナの新しい短歌を、そしてコロナ禍を越えた歌をまたご一緒に詠んでいきましょう。




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