大暑と猛暑の短歌  

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大暑と猛暑の短歌

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大暑は今日7月23日。

夏の盛りを詠んだ大暑の短歌をご紹介します。

大暑とは

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大暑(たいしょ)とは「二十四節気」の一つで第12番目にあたる季節の一つ。

大暑の日付は、近年では7月22日または7月23日で年によって異なります。

2023年の大暑は7月23日の日曜日となりました。

大暑の次が立秋ですので、夏の盛り、夏の最後の季節区分となります。

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大暑の短歌

大暑「たいしょ」のような、音読みを重ねた読みの熟語は漢語といわれるものです。

和歌は漢語に対して、和語が用いられることが多いので、「大暑」そのものの言葉を使った短歌は意外に少なく、北原白秋が詠んだものがあるのでご紹介します。

葉の細みそよぐ梢のさみしさよ大暑の照りは和ぎて明きに

読み:はのほそみ そよぐこずえの さみしさよ たいしょのてりは なぎてあかきに

作者と出典

北原白秋 『橡』

現代語訳と意味

細い葉が風にそよいでいる梢のさびしいながめよ。大暑の夏の日差しの強さはやや凪いで明るいところであるので

解説

大暑そのものというよりも、いちばんの暑さが過ぎたというところの風景です。

明るい日差しゆえに木の梢がはっきりと見えるのですが、暑さが和らいでみるともの寂しさを感じるのでしょう。

 

順礼の墓とふ影が大暑にて山のかかりにあるがしづけさ

読み:じゅんれいの はかとうかげが たいしょにて やまのかかりに あるがしずけさ

作者と出典

北原白秋 『夢殿』

現代語訳と意味

順礼が墓参りをする影が大暑の日の山の暗いところに見えるその静けさよ

解説

詞書に

昭和三年盛夏、常陸大津の海岸へ児童自由詩講演に赴き、その夜五浦の故岡倉天心居士の別墅に宿る。帰途、筑波に登つて山上に一泊。「五浦少女」「筑波新唱」はその折の歌。―「青空文庫」―https://www.aozora.gr.jp/cards/000106/files/52958_54985.html

とあり、茨城県の五浦を訪ねた時の歌。

順礼が墓を訪れるその影が山かげに見えるが、大暑なので逆にその暗がりが静けさをたたえて見えるという情景のようです。

 

白秋は他にも『黒檜』で「靄ごもり大暑の照りのしづけきは寒むかるがごとし蝶ひらら居る」とうたっており、夏の照りを「しづけし」、つまり静かなものとしてとらえていたようです。

 

ここからは、猛暑を詠んだ短歌をご紹介します。

まことにも暑し暑しと口にしていへば紛るる土用の暑さ

読み:まことにも あつしあつしと くちにして いえばまぎるる どようのあつさ

作者と出典

窪田空穂 『冬日ざし』

現代語訳と意味

本当に暑い暑いと口に出して言えば少しでもまぎれる気がする土曜の暑さであることよ

解説

土用はひと夏でもっとも暑い日でもあります。

猛暑はどうしようもないものの、「暑い暑い」と口にすればまぎれる、とはいっても、逆にそうとでもしないとゐられないところが、暑さを感じさせますね。

 

蟋蟀はすでに鳴きたり暑き暑き夏とおもひて山くだりしに

読み:こおろぎは すでになきたり あつきあつき なつとおもいて やまくだりしに

作者と出典

斎藤茂吉 『白桃』

現代語訳と意味

蟋蟀が既に鳴いている。暑い暑いと夏山を下ってきたのであったが

解説

猛暑と蟋蟀の声の対比で逆に山道が暑かったことを述べています。

 

日出づれば即ち暑し露もてる梧桐の花花粉をおとす

読み:ひいづれば すなわちあつし つゆもてる あおぎりのはな かふんをおとす

作者と出典

島木赤彦 『氷魚』

現代語訳と意味

太陽が昇るとすぐにたちまち暑くなる。露を持っていた青桐の花ももう花粉を落としているよ

解説

朝なのに、日が昇ってみるともう暑くなっている。

梧桐は落葉性の高木ですが、夜明けは露を持っていたはずが、たちまち乾燥して、花粉を落としているのが見えるという細かい観察です。

 

すばらしき今年の暑さこころよく汗ながしつつ朝の飯食む

読み:すばらしき ことしのあつさ こころよく あせながしつつ あさのいいはむ

作者と出典

古泉千樫 『靑牛集』

現代語訳と意味

すばらしい今年の暑さ。きもちよく汗を流しながら朝食を食べる

解説

歌そのものは暑さに対する文句ではなく、いきなり「すばらしき今年の暑さ」と言い切っています。

朝食に汗をかくというのですから暑いには違いありませんが、それも気持ちが良い夏の朝だというのです。

暑い暑いというと不快なことばかりではなく、このようなとらえ方、このような夏の過ごし方もあるのだということを教えてくれるような歌です。

今日の日めくり短歌は、大暑と猛暑の短歌をご紹介しました。

それではまた!

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