恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか 百人一首41番  

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恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか 百人一首41番

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「恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか」百人一首の41番、壬生忠見の百人一首の和歌の現代語訳と解説・鑑賞を記します。

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恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしかの解説

読み:こいすちょう わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもいそめしか

作者

壬生忠見

出典

拾遺集 621

百人一首96

現代語訳

「私が恋をしている」という噂が、もう世間の人たちの間に広まってしまった。 他人に知られないよう、心ひそかに思いはじめていたのに

語句

それぞれの意味解説と品詞分解を行います

恋すてふの品詞分解

読みは「こいすちょう」。

「恋をしているという」の意味

「恋す」の部分が動詞、「てふ」は、連語で「という」の意味

参考

春過ぎて夏きたるらし白妙の衣干すてふ天の香具山 持統天皇

わが名の意味

「名」の辞書の定義では「評判。うわさ」の意味がある

まだきの意味

「まだき」は「早くも」という意味の副詞

立ちにけりの品詞分解

「立つ」が動詞。

「に」は完了の助動詞「ぬ」(意味は「・・・した」)の連用形

「けり」は詠嘆の助動詞で「…だなあ」「…ことよ」などと訳す

人知れずこそ思ひ初めしか

「こそ」…「しか」の係り結び

句切れと修辞法

  • 句切れなし
  • 係り結び

※解説は
係り結びとは 短歌・古典和歌の修辞・表現技法解説

解説と鑑賞

この壬生忠見の歌は、百人一首の40番歌しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで (平兼盛)と村上天皇が主催した歌合二十番勝負の最後に優劣が競われたことで有名。

優劣がつけがたく、天皇が口ずさんだことから「忍ぶれど」に決まったというエピソードがある。

昨夜壬生は敗れたことでショックで死んだという説がある。それだけに優劣のつけがたい良い歌とされた壬生忠見の代表作品でもある。

「恋すてふ」の意味

初句の「恋すてふ」は旧仮名遣いで、今の仮名遣いにすれば「恋すとう」になる。

「すとう」は現代の短歌でも使う人がいる。

口語の現代語にやくせば「恋しているという」という意味になる。

「すてふ」の用例

春過ぎて夏きたるらし白妙の衣干すてふ天の香具山

われもはや安見児得たり 皆人の得かてにすとふ 安見児得たり 万葉集

「人知れずこそ思ひそめしか」の意味

意味は「人に知られずに思い始めていたのに」。

「こそ」は係り結びに使う決まった句なので特に訳さなくてよい。

「人知れず」は「人に知られず」の意味。

「思ひそめしか」の「しか」は「しか」は過去回想の助動詞「き」の已然形。

疑問の「か」の意味ではない。

「思ひそめし」は「思う」(=恋をする。相手を思う)と「そむ」の複合動詞。

「そむ」の感じは「初む」とも書き、「…し始める」の意味。

「まだ相手にいう段階ではなく、こっそりと思っていただけなのに」という意味だが、表情や仕草から、周りの人に知られてしまった、そのくらい相手を好もしく思っているという含みがあるだろう。

壬生忠見について

壬生忠見 みぶのただみ

平安時代中期の歌人。父は歌人の壬生忠岑。

忠岑とともに三十六歌仙の一人。

屏風歌などで活躍、勅撰歌人として『後撰和歌集』(1首)以下の勅撰和歌集に36首入集[。歌集に『忠見集』がある。

壬生忠見の他の和歌

あさみどり春は来ぬとやみ吉野の山の霞の色に見ゆらむ(続後撰3)

焼かずとも草はもえなむ春日野をただ春の日にまかせたらなむ(新古78)

さ夜ふけて寝ざめざりせば時鳥ほととぎす人づてにこそきくべかりけれ(拾遺104)

いづ方になきてゆくらむ郭公淀のわたりのまだ夜ぶかきに(拾遺113)




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