初雁は恋しき人のつらなれや旅の空飛ぶ声の悲しき『源氏物語』  

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初雁は恋しき人のつらなれや旅の空飛ぶ声の悲しき『源氏物語』

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初雁は恋しき人のつらなれや 旅の空飛ぶ声の悲しき 作者は光源氏の『源氏物語』から有名なよく知られた和歌を現代語訳付きで解説を記します。

『源氏物語』の作者はNHK大河ドラマの『光る君へ』のヒロイン紫式部です。

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初雁は恋しき人のつらなれや 旅の空飛ぶ声の悲しきの解説

現代語での読み:はつかりは こおしきひとの つらなれや たびのそらとぶ こえのかなしき

作者と出典

『源氏物語』須磨巻(すまのまき) 作者:紫式部

『源氏物語』の中の作者:光源氏

現代語訳

この須磨の地で今年初めて見るあの雁は恋しい人の仲間ででもあるのだろうか。旅の空を飛ぶ雁の声がなんとももの悲しい

解説

この歌を詠んだとき光源氏は、右大臣方との争いで須磨への退去を余儀なくされていました。

8月15日の中秋の名月を見ながら、光源氏は須磨の海を見て雁の列に目を止め、都を思うこの歌を詠みました。

雁は遠くの距離を飛ぶ渡り鳥であり、光源氏はそれにわが身を重ねています。

そして遠い都を思う悲しい気持ちを表すのです。

従者の唱和歌

これを聞いて家来たちも次のような歌を詠みます。

かき連ね昔のことぞ思ほゆる雁はその世の友ならねども 良清

心から常世(とこよ)を捨てて鳴く雁を雲のよそにも思ひけるかな 惟光

常世い出て旅の空なる雁がねも列(つら)に遅れぬほどぞ慰む 右近将監

このように複数の人が、一人に続いて歌を詠むことを唱和歌と言い、源氏物語に多く見られるスタイルです。

唱和歌では、最初の源氏の歌の言葉「雁」が主要な題材になっているのはもちろん、「連」「旅の空」という言葉が織り込まれていまます。

「常世」というのは、ここでは都のことを指します。

※唱和歌については
『源氏物語』の和歌について

唱和歌の意味

それぞれの歌の意味は

「雁は都の人ではないけれども、飛んでいるのを見ると次々と都のことが思われる」

 

「自分から世を捨てて鳴いて去っていく雁を、今まで他人ごとのように思っていましたが、都を離れたわが身と同じようです」

 

「みやこを離れて旅の空に出た雁も仲間と共にあれば慰められるでしょう」

従者のこれらの歌は、源氏の思いを肯定しながら、自分たちの望郷の思いや寄る辺のない思いをそれぞれに表しています。

また、源氏と心を一つに通わせていることもわかります。

最後の歌の「列(つら)に遅れぬほどぞ慰む」という部分は「仲間と共にあればそれでも慰められるだろう」というのも、光源氏と家来たちが寄り合っている今の状況と心境のそのままです。

これらの歌は

源氏物語に描かれるいくつかの唱和歌の中でも、これは互いの心を通わせて詠むものとしての典型とも言えるだろう

と解説しています。

初めてでも読みやすい『源氏物語』の本。

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