梅干しの日は、土用丑の日とほぼ同じ日で、今日7月30日がその梅干しの日です。
土用といえば鰻ですが、鰻とは食べ合わせの悪いといわれている、梅干しの短歌を主に斎藤茂吉の歌よりご紹介します。
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梅干しの日
梅干しの日というのは、梅干しの産地で有名な和歌山県の町が制定したものです。
日付は土用の丑の日とも重なりますが、土用に食べるとよいとされる鰻と梅干は食べ合わせが悪いというのも有名なところですね。
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梅干しの日制定の理由
梅干しはその作り方に「3日3晩干す」という工程があり、それが晴天続きが良いため土用の頃となったものでしょう。
他に、制定の理由としては「梅干しを食べると難が去る」と昔から言われてきたことから「なん(7)がさ(3)る(0)」の語呂合わせもあるようです。
同じ土用の鰻の短歌としては、斎藤茂吉は鰻好きで有名で、たくさんの歌がありますが、梅干しに関しては、鰻の歌以上に印象に深い良い歌がたくさんあります。
梅干しの短歌をいくつかご紹介していきましょう。
谷汲はしづかなる寺くれなゐの梅干ほしぬ日のくるるまで
たにぐみは しづかなるてら くれないの うめぼしほしぬ ひのくるるまで
作者と出典
斎藤茂吉 歌集『白桃』
現代語訳と意味
谷汲にある静かな寺の庭に赤い梅干しが干してある。日が暮れるまで
解説
昭和8年比叡山のアララギ安居会の途上で、岐阜県の谷汲山に参拝した時の歌。
斎藤茂吉の秀歌の一つです。
梅干しの土用干しの風景ですが、「簡素であるのが良い」と佐藤佐太郎が評しています。
この歌の解説は別途記します。
現代語訳では表せない情緒があり、そのまま読んで味わってほしい歌です。
みちのくの勿来へ入らむ山がひに梅干ふふむあれとあがつま
読み:みちのくの なこそへ いらん やまがいに うめぼしふふむ あれとあがつま
作者と出典
斎藤茂吉 歌集『あらたま』
現代語訳と意味
東北にある勿来の山に入ろうとする谷に梅干しを食べている私と妻であるよ
解説
福島の勿来を訪ねたおりの作品で、夫人も同行しています。
その際に、山歩きの時に梅干を食べたという出来事と情景を読んでいます。
「勿来」は「来るなかれ」の意味がありますが、その「勿来へ入る」ということで対置が強調されています。
そこに茶屋があってそこで休息の際に、梅干しを食べたということですが、「あれとあがつま」は作者にとって大きな意味があります。
普段それほど仲が良くなかった妻が同行したということと、妻が初めての子供を妊娠中であったということです。
つまり、梅干しは妻のためであり、そのような妻へのいたわりがみてとれます。
「あれとあがつま」とわざわざ二人を対照させているところにその気持ちが込められているのです。
『梅干しの他の短歌
『あらたま』『ともしび』には他に
梅干をふふみて見居り山腹におしてせまれる白雲ぞ疾き『あらたま』
峠路のながれがもとの午餉梅干のたねを谷間に落す『ともしび』
もあり、山歩きの時に好まれたようです。
梅干しの短歌まとめ
きょうの梅干しの日には健康に良いとされる梅干を、この日の卯の刻(午前6時から8時)にその年の恵方に向かって食べると気が高まり精気がみなぎるともされています。
恵方巻ほど大きなものではないので、食べきるのにはさほど苦労はいりませんので、ぜひ召し上がってみてください。
今日の日めくり短歌は、梅干の短歌をご紹介しました。
それではまた!
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