季節が梅雨に入り、傘にまつわる話題として、前回は斎藤茂吉の短歌「いばらきの浜街道に眠りゐる洋傘(かうもり)売りを寂しくおもふ」をご紹介しました。
今日はその短歌と関連があると思われる、佐藤佐太郎の日傘の短歌をご紹介します。
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今日の日めくり短歌
梅雨の時期、傘にまつわる話題から、昨日の短歌は斎藤茂吉の「洋傘売り」の歌でした。
今日の短歌は、下の作品です。
日盛(ひざかり)の道のむかうに華やかに絵日傘売(えひがさうり)が荷を置きにけり
作者は佐藤佐太郎。歌集『短夜』に収録されています。
佐藤佐太郎は、斎藤茂吉の門弟で、茂吉の歌のいちばんの理解者であったと思います
北茨城に住んでいた佐藤佐太郎
佐藤佐太郎ですが、子どもの頃に北茨城に住んでいたようです。
佐太郎にとっては、茂吉がその歌に詠んだ、「いばらきの浜街道」の景色は見知った眺めであったに違いありません。
茂吉が先の歌で詠んだのが「洋傘売り」ですが、佐太郎の方は女性向きの華やかな柄の日傘と、その行商人。
佐太郎の詠んだ、夏の日差しの強い中に、色鮮やかな絵柄の傘が見える風景は、斎藤茂吉のわびしさとは対極にあるものですが、おそらくはこの歌も敬愛する師である茂吉の歌を念頭に置いて詠まれたもののように思います。
師に学ぶ佐太郎の言葉
下は、斎藤茂吉に学ぼうとする、佐藤佐太郎の言葉です。
私は斎藤先生に師事し、念々に先生の歌にまねんで薫染(くんせん)せんことを希(ねが)つてゐる。それゆえ私の歌は先生の模倣に終始するものと謂っていい。