若山牧水の代表作短歌10首  

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若山牧水の代表作短歌10首

2020年9月17日

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若山牧水の代表作といわれる短歌にはどのようなものがあるでしょうか。

愛唱される「白鳥は」「幾山河」他の若山牧水の代表作をご紹介します。

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若山牧水はどんな歌人

若山牧水は、明治18年、宮崎県生まれの国民的歌人のひとりです。

生家の父は医師でしたが、牧水は15歳で早くも歌を詠み、早稲田大学に進学した大学生の時には短歌を多作、歌人になることを決めていたようです。

 

「牧水」の命名の由来

若山牧水の本名は「繁(しげる)」。

牧水の号を使ったのは18歳のときで、その由来は牧水自身が述べています。

「当時最も愛していたものの名二つをつなぎ合わせたものである。はまき、即ち母の名である。はこの(生家の周りにある)渓や雨やから来たものであった」

つまり、牧水との名前は「牧」と「水」の組み合わせであったのです。

そしてどちらもが母と生家の水、つまり、故郷にかかわりのあるものだということは、牧水のあり方とも大いに関係のあるところかもしれません。

 

若山牧水の作品の特徴

若山牧水は自然主義の歌人といわれており、特に1910年の歌集「別離」は自然主義の思潮を受けた平明流麗、清新な歌風で、当時の歌壇のみならず、広く注目を受けました。

ただし、恋愛の内容の歌は浪漫的な雰囲気の歌が多く、その後の歌集『みなかみ』は口語短歌の手法も取り入れています。

また、旅の折々にも牧水の愛していた自然を詠んだものも多く見られるのも特徴です。

 

若山牧水の代表作短歌

若山牧水の短歌の代表作を10首、訳と共に読んでいきます。

最初はもっとも有名な歌である「白鳥は」「幾山河」の歌からです。

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

現代語訳と意味:

「白鳥は悲しくはないのだろうか、空にも海の青い色にも馴染まずに一羽大空を漂っていて」

若山牧水の代表作品の一つで古くから愛唱される短歌で、教科書にも掲載されています。

詳しい解説は

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ/若山牧水現代語訳と句切れ,

 

幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく

現代語訳と意味:

「山と川をあといくつ越えれば、さびしさのない国にたどり着くのだろうか。今日もまた旅を続けるのだ」

詳しい解説は
幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく

 

われ歌をうたへりけふも故わかぬかなしみどもにうち追はれつつ

現代語訳と意味:

「私は歌を歌い詠む。今日も理由のわからない悲しみに追いたてられるようにして」

「故わかぬ」は、「理由がわからない」の意味。

牧水はまた、旅に出たいとする気持ちを「あくがれ」と呼んでいます。

その「あくがれ」の歌は下に。

 

けふもまたこころの鐘をうち鳴らしうち鳴らしつつあくがれて行く

現代語訳と意味:

「きょうもまた、巡礼のように心の鐘を鳴らしながら、あこがれて旅に出ていくのだ」

牧水が旅を続けた理由は、その地に行って歌を詠んだりなどの、各地での仕事があったためもありますが、生来、旅好きではあったようです。

 

山ねむる山のふもとに海ねむるかなしき春の国を旅ゆく

現代語訳と意味:

山が眠る、その山の麓には海が眠る、そのような美しく愛しい春のこの国を旅してゆくのだ

伊豆の松崎町の那賀川沿いの桜、花田及び二十一世紀の森などを訪ねた折の歌で、歌碑として残されています。

 

白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ

秋の夜の歌で、よく知られた作品。

現代語訳と意味:

その白い歯にすら沁みとおるような味わいの秋の夜の酒は、心静かに飲んでその風情を楽しもう

 

ちんちろり男ばかりの酒の夜をあれちんちろり鳴きいづるかな

第一歌集『海の声』より。

現代語訳と意味:

「ちんちろり」と虫の鳴き声が聞こえる。男だけで酒を酌み交わす秋の夜「あれ、ちんちろりが鳴き出したぞ」と耳を澄まして聞いている。

この歌もよく引用されています。

上2首の詳しい解説は
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ 若山牧水の秋の短歌二首

 

こほろぎのしとどに鳴ける真夜中に喰ふ梨の実のつゆは垂りつつ

読み:こおろぎの しとどになける まよなかに くうなしのみの つゆはたりつつ

作者:若山牧水 歌集『くろ土』(大正10年)

現代語訳と意味:

蟋蟀がしきりに鳴いている秋の真夜中に食べるこの梨の実からは、甘いしずくが落ちている

 

雲ふたつ合はむとしてはまた遠く分れて消えぬ春の青ぞら

第一歌集『海の声』所収

現代語訳と意味:

雲がふたつ、近寄ってこようとしては、いつの間にかまた遠く別れて消えて行った、この春の青空に

 

いただきの秋の深雪に足あとをつけつつ山を越ゆるさびしさ

歌集『路上』より

現代語訳と意味:

頂上に降り積もった深い雪に、足跡を付けながら山を越える時のこのさびしさよ

まとめ

若山牧水の短歌は、初期の「海の声」と「別離」の作品が、大変に有名すぎるため、後年の作品も優れたものが多いのですが、かすんでしまっている感がありますね。

恋愛とはまた別の趣のある作品もたくさんあるため、引き続き鑑賞していきたいものです。

以上、若山牧水の短歌代表作を10首ご紹介しました。




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