親に感謝の気持ちを伝える短歌は、よく質問されるトピックの一つです。
きょうの日めくり短歌は「親に感謝の気持ちを伝える日」にちなみ、父母に感謝の気持ちを表す短歌を探してみました。
親に感謝の気持ちを伝える短歌
「親に感謝の気持ちを伝える短歌」は探している人が多く、短歌のトピックでも、度々上がる質問です。
ただ、伝統的な和歌においては直接、父母に読ませようという目的で詠まれたものは、ほぼないと思われます。
それでも、親を詠った歌や、感謝の気持ちが表れている短歌を選んでみました。
この記事では、一般の人の詠んだ投稿作品から集めました。
なお、歌人の作品については、下の記事の方をご覧ください。
母の日に読みたい短歌/母への感謝,献身的な母,子を案じる母,母恋い
mixi の短歌の投稿より
以下は、SNSのmixiに掲載された短歌です。
ありがとう母(あなた)が繋いでくれた手を今度は私が繋いで歩く
作者は不詳。
おそらくは介護の短歌と思われますが、介護をしている作者の方が、母に「ありがとう」と述べています。
ちちははの ただちちははであることの あつきを おもふ なみだはやまじ
父母の只父母である事の 篤きを思ふ 涙は止まじ
作者:勢美子さん
「何をしてくれたから」ではなくて、「ただ父母であることの」がポイントです。
以上
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1259&page=2&id=36032909
学生コミュニティキャスフィの短歌投稿作品より
ここからは、学生の詠んだ親への感謝の短歌です。
吾子たちがいるのは父母のお陰です 来世でもまた子供にしてね
作者:にこにこPOOHさん
子どもと自分、父母のつながりに思いを馳せているのです。
よく子どもができると、親の気持ちやありがたみがわかるといいますね。
出典:https://www.casphy.com/bbs/tanka/1515554/ より
ありがとう産んでくれてありがとう 長生きしてねこれからもずっと
作者:日向さん
逆に、こういう言葉はなかなか普段は言えないものです。
作品としてみた場合は物足りない感じになってしまうかもしれませんが、個人的には、こういうストレートなもので十分だと思います。
寒いけど 母は毎日 やっている 朝のゴミ出し 食事のしたく
作者:祐一さん
こういうのも、具体的でいいですね。内容も飾りがありませんが、親としても実際の行為も、毎日地味なことばかりです。
しかし、そこに焦点を当てるだけで、十分に意味があり、このような歌をもらった方にして見れは逆に喜ばれると思います。
洗濯も 料理も仕事も 母がするゴミ捨てにしか 行かなくてごめん
作者:綴りさん
こちらも、母の毎日の家事に思いを寄せた歌です。
ゴミ捨てのおてつだいをするなんて、それだけでも立派ですよ。
母子家庭 いまはシングル マザーという 独りで育てる 母は偉大だ
作者:エンジェルさん
「今は」ということは、昔を振り返っての追想です。
これも、お母さんにぜひ読ませてあげたいですね。
携帯で 母の一声 聞くごとに (長生きしてね)と 心に祈る
作者:エンジェルさん
「長生きしてねと母に言った」というのと、「心に祈る」とでは、どう違うのかというと、読んでいる人の心に響くのは、やはり後者の方なんですね。
これはなぜなのかというと、短歌というのは、心の深くにあるもの、普段言葉になりにくいようなものが詠まれることが多いためかもしれません。
親の和歌 万葉集と千載和歌集より
最後に万葉集から2首を上げます。
ちはやぶる神の御坂に幣奉り斎ふ命は母父がため
読み:ちはやぶる かみのみさかに ぬさまつり いはふいのちは おもちちがため
作者と出典
神人部子忍男 ( かむとべのこおしお ) 万葉集4402
歌の意味:
神の御坂に幣をたてまつり、命の無事を祈る。それは自分のためではない、母と父のために祈るのだ
父母に分かれて、防人に出かける前の祈りの歌です。
人の子の親になりてぞ我が親の思ひはいとどおもひしらるる
作者と出典
康資王母 やすすけおうのはは 『新千載和歌集』
意味
人の子の親になって自分の親の気持はますます良く思い知るものだ
同じモチーフの累加もあり、この考えは、親の年齢になった人には誰にでも思い当たるものなのでしょう。
以上、きょうの日めくり短歌は、「親に感謝の気持ちを伝える日」にちなみ、一般の方の短歌と和歌二首をご紹介しました。
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