短歌・和歌

うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき/小野小町 意味と解説

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うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき

小野小町の有名な和歌、代表的な短歌作品の現代語訳と句切れと語句、小野小町の短歌の特徴と合わせて解説します。

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うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき

読み:うたたねに こいしきひとを みてしより ゆめてうものは たのみそめてき

作者

小野小町 古今集12巻

現代語訳

うたた寝をして恋しい人を夢に見て以来、夢というはかないものを、私は頼みにし始めたのであった

句切れ

句切れなし

語と文法

語と文法の解説です。

・夢てふ・・・「てふ」は「てう」と読む。意味は、「夢という」

・恋しき・・・文語では「恋し」が基本形。次に「人」の名詞が付くときは、連体形で「恋しき」の活用

見てしより の品詞分解

・見て+し+より

「て」は完了の助動詞「つ」の連用形

「し」は、過去の助動詞「き」の連体形

そめてき の品詞分解

・そめ・・・「そむ」が基本形

・「て」は完了の助動詞「つ」の連用形

・「き」は過去の助動詞「き」の終止形

 

解説と鑑賞

小野小町の有名な歌、「花の色はうつりにけりないたづらにわが世みにふる眺めせしまに」他の中の代表的な作品の一つ。

一首の意味

素直な表現をとり、単純で率直に言い下した歌。

「夢てふものは 頼みそめてき」の「夢というものは」という述懐に真実味がある。

今までは、夢を何とも思わなかったが、恋しい人が夢に出てきたためにあらためて「夢というものは」と定義し直す気持ちになったというもの。

恋人と夢との関連

うたたねの時にも人を夢に見る、そして、さらに、その人が出てきたから「夢」を大切に思う。

そうして、それほどまでに、愛しい人を思う気持ちを表しているのだが、それにしても、夢は現実ではなく、ただの履かない夢にしか過ぎない。

心細くも、人を思う女性の気持ちを表している。

結句の「頼みそめてき」の調べも細々とした響きがある。

返歌として詠まれた歌

この歌は、小野小町の歌集では、ある時夢に人の姿が見えたので、

思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを

と詠んだのを、恋人に語ったら、「あわれなことだ」と言われたので、さらにそれに対して詠んだ返歌とされている。

この歌に対する応答に対して、さらに

頼まじと思はむとてもいかがせむ夢より外に逢ふ夜なければ

いとせめて恋しきときはうばたまの夜の衣をかへしてぞ着る

と続いている。歌に歌を重ねて、小野小町の才がうかがえる一連の作品となっている。

心理の動きへの客観性-小野小町の特徴

一連の歌には、小町の歌の発想の特色がよく現れており、自分の情熱を誇張や強調をせずに、自分の心理の動きを客観的に見て、読み手に報告しようとするように詠まれている。

小野小町はどんな歌人

六歌仙の1人に選ばれたただ1人の女性歌人で、歌風はその情熱的な恋愛感情が反映され、繊麗・哀婉、柔軟艶麗と評される。

『古今和歌集』を編纂した紀貫之は、序文で、『万葉集』の頃の清純さを保ちながら、なよやかな王朝浪漫性を漂わせているとして小野小町を絶賛しており、和歌の腕は随一であった。

ただ、それほどの名をはせた歌人でありながら、小野小町がどのような立場の人だったのかは、はっきりわかっていない。

遺された歌を見ると、小野小町は実際多くの相手との恋愛の贈答歌を交わしており、歌には、「かぎりなき思ひのまゝに夜も来む夢路をさへに人は咎めじ」などと、いわゆる禁じられた恋を詠ったものもあるので、思いが実らない、結婚できないうちに年を取ってしまったと解釈をすることもできる。

一方では、小野小町は、結婚ができない宮中、特に後宮の女官のような立場であったという説もあるので、あるいは和歌に恋愛へのあこがれを詠みながらも、自由な立場で実際に恋愛をできるような人ではなかったとも言われている。

あるいは、そのような立場であるからこそ、和歌のみが恋の場であり、男性と意を通わせる手段であったので、後世に名前が残るような傑作となる和歌を作り得たとも推測できる。

小野小町の他の和歌

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを

今はとて わが身時雨に ふりぬれば 言の葉さへに うつろひにけり

色見えで 移ろふものは 世の中の 人の心の 花にぞありける

うつつには さもこそあらめ 夢にさへ 人めをもると 見るがわびしさ

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