家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る 有間皇子  

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家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る 有間皇子

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家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る  有間皇子の万葉集の代表的な短歌作品の現代語訳、句切れと語句、品詞分解を解説します。

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家にあればに盛るいひを草枕旅にしあれば椎の葉に盛る

読み:いえにあれば けにもるいいを くさまくら たびにしあれば しいのはにもる

作者と出典

有間皇子(ありまのみこ) 万葉集142

現代語訳

家にいれば器に盛る飯を、旅の途中なので椎の葉に盛るのだ

※有間皇子の1首目の歌はこちらの記事に

語句と文法の解説

・笥(け)…物を入れる器のこと

・草枕…旅の枕詞

・椎…しいの木 常緑の高樹で、葉の長さは6,7センチ

※枕詞については
枕詞とは 主要20の意味と和歌の用例

品詞分解

・あれば…「あり(連用形)+「ば」 「ば」は順接確定条件の接続助詞
訳は「~たら」

・旅にしあれば…「あれば」は上と同じ。「し」は強意の副助詞

句切れと修辞について

・句切れなし

ただし、声に詠むときには「草枕」のあとで休止が入ると思われる

・「家にあれば」「旅にしあれば」は対句

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解説と鑑賞

有間皇子の和歌は万葉集に2首が収録されており、この歌はその二首目。

「有間皇子自ら傷(かな)しみて待つが枝を結べる歌二首」との詞書があります。

―有間皇子自ら傷(かな)しみて待つが枝を結べる歌二首

磐代いわしろ磐代の浜松が引き結びまさきくあらばまたかへり見む

家にあればに盛るいひを草枕旅にしあれば椎の葉に盛る

有間皇子は、蘇我赤兄 (あかえ) にはかられて謀反を企ててとらえられ、行宮(あんぐう)で尋問となりましたが、その行宮に送られる途中、今の紀伊である、磐代海岸を通過した時に詠んだ歌とされています。

この歌は、謀反人として護送される途中の歌で、身分は高くても捕らわれの身であり、かつ旅の時でもあって、満足な食器もない。

普段は銀器で食事をしていたが、今は葉っぱに飯が盛られているという事実を淡々とそのままに詠んでいます。

それでも人々はこの不遇な皇子に思いを寄せ、そのために、これらの歌2首が万葉集に収録されています。

皇子は行宮についた後、絞首刑となりましたが、その時19歳でした。

万葉集には、この後に、この皇子の一首目の「結び松」の歌が二首収録されています。

上の万葉集所収の和歌は、護送される途中で詠んだとされる。




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